事前予想をすることで「数字力」がつく
多くの投資家が、四季報の情報のうち、見向きもしない上位にランクするのが、「下向きの矢印」です。とりわけ、下向き2つの矢印は、「前号比で30%以上の営業利益の減額予想」、つまり大幅減額であり、株価も急落あるいは、底値低迷の場合が多い銘柄となっています。
拓殖大学・坂田ゼミナールでは、矢印を時系列で継続して調査・研究しています。企業業績の推移に興味を持った学生は、「企業業績と株価の関連性」や1株利益と1株配当の割合である配当性向に注目して「配当性向と株価関連性」などを卒業論文のテーマに選んで、読み応えのある内容を提出してくれます。もちろん、最高成績の「S」評価を得て卒業していきます。そして、数字に強い学生として、企業社会での一歩を歩んでくれています。企業業績に感度の強い学生は、その後も活躍する場面が多いようです。
実は、同ゼミナールでは、ちょうど夏号での矢印の「事前予想」を終えたところです。たとえば、ゼミ3年生の井上暁恵さんは、資生堂(4911)に注目して、時系列に決算短信の推移を報告してくれました。同社は、春号で「下向き2つの矢印」(前号比で30%以上の営業利益の減額予想)となっています。井上さんが就職先として志望する第一の業界が、「トイレタリー・化粧品」であるので、大手である同社の今後の業績に注視しているようです。
同社は、再生医療関連銘柄という見方もあります。井上さんをはじめ、ゼミナール生が夏号の矢印を予想しています。予想した矢印の向きが的中するかどうか、は重要です。けれども、予想作業を通して、企業から公表される財務諸表やプレスリリース、あるいは、経済新聞の記事や業績観測記事などを読み解くことで、企業の数字に敏感になります。誰にも盗まれることのない、生涯活用できる極意になるはずです。
これからのカウントダウン中には、さまざまなイベントがあります。まずは、いわゆるアベノミクスの3本の矢である「成長戦略」の詳細が公表されます。また、各政党による参議院選挙の焦点(公約)公表などです。こうした材料に関連する銘柄を春号、または、夏号で発掘するのは、カウントダウンの時期ならではの至福のときです。
世界文化遺産登録が間近の富士山は、美しくそびえ立つ雄壮な姿と、その広大な裾野が魅力的です。富士山にちなんで、初夏相場を彩る銘柄を、裾野を広げて選ぶ時期ではないでしょうか。
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