民間出身初の女性校長になった、剛腕マザー リクルートのトップ営業、会社社長、そしてどん底も経験

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妊娠、そして思わぬ転機

事業は絶好調だった。ところが、34歳のとき、転機が訪れる。長女の妊娠だ。

出産によりしばらくの間、“カリスマ不在”となった会社は、銀行口座の預かり額が10万円を切るほどの経営危機に陥った。そこで助けの手を差し伸べてくれたのは、平川さんの両親だった。

「大阪の家を売り払い、2人して引っ越してきてくれたんです。本当にありがたいことで、足を向けては寝られません」

両親の支えもあり、会社の再建に全力投球。すぐに「シニアの留学支援では日本一」の実績を誇り、大手旅行代理店と提携するほどの会社に持ち直した。だが、会社は潤っても、平川さんの心は乾く一方だったと言う。

「裕福なシニアの、普通の旅行では味わえない短期留学の夢をかなえたいというニーズはいっぱいあった。また、ありがたいことに、そういうお客さんは毎年、留学してくれるから、1粒で何度もおいしいビジネスだった。でも、心が『ダメ』って言い始めて、ストレスで突発性難聴になっちゃっいました」

若者の留学者数が減り、会社設立の当初の目的だった「留学支援で、日本に元気と勇気と活力を」という目標が実現できなくなったことが、平川さんのやる気を奪っていったのだ。

信念が果たせないなら辞めるしかない――こうして、平川さんは会社を売却。40歳にして、無職生活に突入した。

無職生活で再発見した、自分の道

平川さんは、不調なときは「死んだふり」を決め込むのだと言う。

「そういうときは下手に動いてもしょうがない。勉強するしかない。だから、哲学や、心理学、宗教学なんかの本を死ぬほど読みましたね。人間とは何か、自分は何を成し遂げたいかを突きつめたかったのだと思います」

その結果、またむくむくと、意欲が湧いてきた。

「やっぱり私は、『教育で日本に元気と勇気と活力を』ということがやりたいのだとわかった。前は留学支援という教育の周辺事業だったけど、今度はドンピシャど真ん中の学校教育がやりたいと」

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