コツコツ貯金したいなら4色で流れをつかめ 家計も企業もどんぶり勘定は危なすぎる
イレギュラー支出というのは、結婚式のご祝儀や急な葬儀による香典などの冠婚葬祭に関する費用、また、忘年会や歓送迎会シーズンの交際費など、必要な日や金額が前もって分かりにくいおカネのことである。
経営者向けの4色通帳と比べてほしい。経営者向けの場合、ここは納税緊急口座となっている。これは、万一不足した時には、会社の存続にかかわる事態だということで赤色である。一方、会社員向けの場合、税金は給与から天引きされているので、この心配はない。とはいえ、イレギュラーな出費に対して準備不足では、何かイベントが起こった際、一気に逼迫してしまう。のんきな一面と急に牙をむく一面を併せ持つため、中立な色、白色をイメージカラーとした。赤色がないというのは、会社員の特権とも言えるだろう。
最後に自己投資のためのおカネである。これは、書籍代やビジネスセミナー、習い事や英会話教室などが該当する。スポーツクラブの月会費などもここに入るだろう。自分の将来のため、スキルアップのため、自己研さんのために使うおカネのことだ。信号に例えれば「進め」なので、イメージカラーは青色とする。ここは、生活費とは切り離して考えておいた方がいい。というのも、生活費の確保に問題が生じたとき、残念ながらもっとも切り詰めることが容易なのが、ここだからだ。
こうしておカネを色分けしていくと、おカネがただ単一なものではなく、自分の生活を支えるための役割を担っているということが、よく分かる。そして、その流れをよく把握できるようになってくる。
破綻は一気にやってくる
歩合で報酬を受け取っている人たちは、毎月の収入が安定しない。そのため、基本的にはおカネの管理に気を配っている人が多い。しかし、気を付けたいことがある。それは、「収入の高い状態が続いたとき、生活レベルを過剰に上げないようにする」ということだ。おカネの色分けでいうと、黄色の部分、生活費のこと。生活レベルというのは非常に面倒な性質を持っていて、上げるのは簡単なのに、下げようとすると大きな苦痛を伴うからだ。
高級輸入家具を扱う営業マンのUさんの話である。
「コツをつかんだというか、営業成績が面白いように伸びた時期があったんです。世間の不況をよそに、僕の成績は右肩上がり。そんなことが2年ぐらい続いたでしょうか。仕事も楽しいし、だんだんとそれが当たり前になっていって、彼女とのデートもロブションでディナーをしたり、マンダリンオリエンタルやリッツカールトンといった高級ホテルに宿泊したり、どんどんゴージャスになっていきました」
Uさんは当時を振り返りながら、丁寧に話してくれた。「でも、大口のお客様が海外に移住されたり、事業をたたまれたりすることが続き、他のお客様を紹介してくださったりもしたのですが、それでもどんどん営業成績が落ちていってしまったんです。でも、これまでフレンチだったディナーを急に居酒屋にするわけにもいかなくって、気づいたらカードの支払いが回らなくなってしまいました。
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