円安・株高・債券高は基調転換を迎えたのか 市場動向を読む(債券・金利)

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23日午後からは各市場の様相が一変した。発端は、5月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)が49.6と市場予想から下振れしたうえ、好不況の分かれ目とされる「50」を7カ月ぶりに割り込んだこと。中国景気の先行き不透明感を再認識させられた株式市場では、このところ相場が過熱していたこともあって利益確定売りが殺到した。

日経平均株価は下げ幅を急激に広げ、結局、1143円安の1万4483円に大暴落となった。1ドル103円前後まで下落していた円相場は買い戻しが入って100円台へと急反発。債券も買い戻され、長期金利は0.825%まで急低下した。今週もこのような円高・株安・債券高の流れが持続し、長期金利は0.80%台前半で弱含みにもみ合っている。

 債券市場は自縄自縛の悪循環に

こうしたなか、債券市場の目下の関心は、『乱高下相場は一体いつまで続くのか?』『混乱が収束するとき、長期金利の居所は?』に集中している。背景には、金利水準が落ち着きどころを見つければ、今年度の債券運用を本格稼動させたいという考えがある。しかし、その予測は困難を極める。乱高下は『自縄自縛の悪循環』だからだ。

つまり、投資家のリスク管理指標の一つである金利ボラティリティ(変動性)が今回のようにひとたび上振れすると、投資家のリスク許容度が低下し、売買高が細って流動性が低下する。そのため、金利が売り(仕掛け)に過剰反応する格好で上振れし、ボラティリティもさらに上昇し、高止まりしてしまう。市場は混乱収束への糸口をなかなか掴めない。混乱はいきおい長引く。そこで、過去の経験にヒントを探ってみた。

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