中国資本で生まれる「純日本製アニメ」の正体 角川ゲームスが中国に仕掛ける「星娘」とは?

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「スターリーガールズ」は豪華声優陣が演じることでも話題を集めている。中央の「副キャプテン」は水樹奈々さんが担当する

「艦これ」は中国市場で展開されていないが、海賊版の人気は高い。すでに飛行機や戦車を美少女に擬人化するなど、設定を変えた類似作品の製作がいくつも進んでいるほどだ。アルファ社のホリーCBO(最高業務執行責任者)は、「中国には8000万人以上の"二次元コンテンツ"ユーザーがいる。今後も成長が見込める」と期待を寄せる。

中国のマンガ・アニメ市場規模は2014年で1000億元(約1.5兆円、JETRO調べ)と推測されるが、「毎年1000万~2000万人のペースで増え続けている」(ホリー氏)。中国では日本のアニメやマンガなどのコンテンツ好きが集まるコミュニティがあり、10代や20代の若者の間で人気を集めている。

スターリーガールズの製作総指揮を担当する角川ゲームスの安田善巳社長は、「アルファ社が、星娘を使った派生ゲームやグッズを独自に開発しても構わない」と言い切る。その理由について、「複数の中国企業と提携を探ったが、取締役として経営に参画することが条件だったり、半年や1年先のビジネスしか見ていない人たちばかりだった。アルファ社は長期的なビジネスを見据えており、一緒に星娘を育てることで成功してほしい」(安田社長)と意気込む。

日本のテイストをそのまま持ってくる

アルファ社の親会社であるアルファグループは、子ども向け玩具で急成長したエンターテイメント企業だ。2013年からゲームやアニメ、コミック、映画などへ事業領域を広げている。自社独自のIP(知的財産)を複数保有し、アニメやコミック、ゲーム、玩具へクロスメディア展開することで成長を続けている。

主な収益源はゲームの課金収入や玩具などのグッズ販売であり、アニメやコミックは新たなIP創出やマーケティングツールとして製作・配信されている。アルファ社の2015年度の売上高は26億元(約400億円)、直近の時価総額は366億元(約5500億円)となっている。

中国での日本のアニメ・マンガ人気は高く、中国向けのスマホゲームに日本の声優が起用された作品もあるほどだ。「中国の若者は過去20年間で、日本と韓国の文化から影響を受けながら育てられた。文化に対して寛容であり、ローカライズせずに日本のテイストをそのまま持ってくることが成功する要因」(アルファ社のホリー氏)。

アルファ社では、角川ゲームス以外の日本企業とのパートナーシップも視野に入れている。中国・日本共同でゲームやアニメを開発するプロジェクトは成功するのか、星娘も試金石の1つとなりそうだ。

前田 佳子 東洋経済 記者

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まえだ よしこ / Yoshiko Maeda

会社四季報センター記者

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