日本のLCCが「鉄道の強敵」になれない理由 安定性でビジネス客は敬遠、燃料税もネック

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
画像を拡大
新幹線網が発達した日本では、米国のLCCビジネスモデルがそのまま通用するとは限らない(撮影:尾形文繁)

このほか、関西空港でもLCCターミナルは、連絡バスの利用を強いられるなど、アクセスに難があることに加え、ターミナル全体が混雑している。また低価格を実現するため、コストのかさむボーディングブリッジは使用しない。高齢者やベビーカーを持った利用者には負担である上、雨天時は傘を差さなければならないなど、不便な点が少なくない。

LCCや新規参入の航空各社は、サウスウエスト航空のビジネスモデルを適用して、低価格運賃を設定して市場に参入してくる。米国では、北東回廊(ワシントン~ニューヨーク~ボストン間)以外は、都市間輸送に対する鉄道の競争力が無いため、航空機のシェアが高い。サウスウエスト航空は、都心部に近いセカンダリー空港に発着して、直行便で目的地へ向かうというビジネスモデルを採用したことで急成長を遂げた。

だが、サウスウエスト航空のビジネスモデルを真似しても、日本には新幹線という強力な競争相手が存在する。新幹線の主な利用者層は、ビジネスマンである。ビジネスマンは、出張経費は各企業が負担するため、自腹は痛むことは無い。そうなれば価格よりも、駅へのアクセスや運行頻度などの利便性を重視する。

ビジネス客はLCCを選ばない

航空機の運航速度は速いが、日本の都市は米国よりも遥かに人口密度が高く、都心部に空港が無いため、空港までのアクセスに時間を要する上、搭乗手続きや手荷物検査に時間を要する。到着後は、手荷物の受け取りや都心部へのアクセスに時間を要するため、ビジネスマンは新幹線で片道3時間程度の所要時間であれば、新幹線を利用しようとする。

ましてや予備機が無く、悪天候や機材トラブルがあれば欠航になる危険性が高いLCCでは、業務に支障を来す危険性が高い。ビジネスマンは、羽田~新千歳間という航空のドル箱路線であっても、LCCを利用したいとは思わず、FSAを利用しようとする。同じ航空機であっても、LCCとFSAとでは利用者層が異なるのだ。

次ページLCCは寝台列車のライバルなのか
関連記事
トピックボードAD
鉄道最前線の人気記事