JR東海の攻勢をかわした「名鉄」の復活劇

赤字線の廃止と独占路線のテコ入れがカギ

その先鞭をつけたのが、2005年の中部国際空港開業だった。名鉄は、同年開催の愛知万博(愛・地球博)の開催に先立つ1月29日から空港特急「ミュースカイ」の運行を始めた。国際空港であるものの、JR東海はアクセス線を建設しなかったため、名鉄が鉄道輸送では独占できる立場にある。そのために開発した新車2000系による特急は、常滑線終点の常滑駅から第三セクター方式で沖合の人工島にできた空港線を通り、名鉄名古屋から中部国際空港までを28分で結ぶ。同特急は全車指定席で、名古屋市内では金山・神宮前に停まるものの、その後は空港までノンストップとすることで30分を切る所要時間を実現した。

その結果、並行して走りはじめた空港連絡バスはまったく利用されず、名古屋市内から空港への公共交通輸送は名鉄が独占する形となった。そのため、当初3両編成だったミュースカイは、2編成併結の6両編成にしても満席の便が多く出たため、急遽中間車を増備して全車4両編成にしたほどだ。

このミュースカイは、当初、名鉄岐阜と犬山線の新鵜沼から各1時間ヘッドでの運転となっていた。ところが、岐阜方面からの空港直通客は多くなく、いまでは日中に名鉄名古屋と新鵜沼から各1時間ヘッドとなり、名鉄岐阜発着は朝晩だけとなっている。

犬山の観光キャンペーンも奏功

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「犬山キャンペーン」開始を記念して、2007年春に走ったラッピング車「犬山時代絵巻号」出発式

続いて、2007年には犬山の城下町をメインに据えた「犬山キャンペーン」を始めた。従来、名鉄にとっての犬山は、「明治村」「リトルワールド」「モンキーパーク」といった名鉄経営の観光施設を有する地であり、その観光客を運ぶための犬山線だった。

ところが、これら郊外にある施設には、自家用車でアクセスする人が増えていた。その対応として、これら観光施設はカルチャースクールなどとともに2003年に子会社「名鉄インプレス」をつくり、ここに運営委託や経営移管をしていた。つまり、名鉄本体にとって犬山線の利用促進は、犬山市の郊外にある子会社が運営する施設への送客に配慮することなく、独自の判断で決められる状態となっていたのだ。

犬山市は、バブル崩壊頃から国宝の犬山城の下に、江戸時代の町割りがそのまま残る城下町があることに目を向けていた。当時の市長が本町通りの拡幅計画を白紙に戻し、本町通りに面する家々に協力を求めて個人宅の修景をした。さらに2009年には本町通りの電線地中化が実現し、一気に観光客が増えるタイミングでもあった。

この2007年にはじめた「犬山キャンペーン」は好評で、いまも毎年春と秋の2回開催されている。キャンペーンがはじまると、本町通りの人通りが一気に増えるほど、その効果は絶大だ。

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