ソフトバンクが進めるスマホ販売改革の試練 代理店「見返り」求める声も
佐々木氏は「ビジネスなので目標はあるが、未達だったからといってペナルティはない」と話すが、先の関係者は「精査基準というソフトバンクが定めた実数目標を提示され、未達成だと支援金はゼロになる」とこぼした。
関係者によると、ソフトバンクは手数料体系にこまめに手を加えており、「数年前のままだったら代理店は相当厳しい状況に陥っていた」(別の代理店)と評価する声もあるが、負担が増える一方にもかかわらず、それを金銭面で評価する仕組みがないと不満を募らせる代理店も少なくない。
しわ寄せは消費者に
代理店へのプレッシャーは、消費者へのしわ寄せとなって表れている。消費生活センターなどに寄せられた2015年度の電気通信サービスの苦情・相談件数は約8万件と、この3年間で1.9倍に増加した。「契約を断ったはずなのに契約手続きが進められた」、「身に覚えのないオプション契約がついている」といった声が寄せられているという。
ソフトバンクは昨年秋から主要代理店にスマホアドバイザーを派遣するなどして、店頭スタッフの負担軽減を図るとともに、今期からはスタッフの離職率を代理店評価に加え、「働きやすい職場づくり」に着手した。
だが一部の代理店からは「ノルマでプレッシャーかけるくせに、辞めたら代理店に責任を押し付けるキャリア都合のシステムだ」と不満の声が聞こえてくる。
宮内社長は今年5月、社員向けの電子メールで、国内通信で今期7500億円の営業利益を目指す方針を掲げた。M&A(企業の合併・買収)会計の影響などを除けば実質6%成長という控えめな数字だが、一部の代理店にはその利益は自分たちの我慢の上に成り立っていると映っているようだ。両者の溝は深い。
(志田義寧 編集:北松克朗)
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