Webマーケティングの舞台で起きている茶番 クライアントがわかっていないのも残念だ
一般ユーザーからの商品買い取りをしているある会社では、LINEで友達申請をしてもらい、スマホなどで撮影して送ってもらった写真をもとに査定をしています。家にいてもすぐに査定金額がわかるので便利です。このサービス内容をリスティング広告で告知し、ランディングページから友達申請ができるようにしました。
ただ、広告代理店とはLINEの登録数だけを指標に話をしていたようです。ただその中で査定を依頼してくる件数は少なく、買い取りにまでつながるケースはさらにまれでした。買い取った商品を売りに出して差額が利益になるのですから、いくら友達申請が増えても査定から買い取りにつながらなければビジネスとしては意味がありません。LINE登録までに広告料金がかかっていますから、買い取り1件当たりの費用対効果も悪化していました。
友達申請が多いことに、まったく意味がないとはいいません。それだけ認知度は高まっているでしょう。そのうちに買い取りに出すかもしれないから候補として考えておこうと思っている潜在ユーザーは増えていると考えられます。しかし、そこから先に進まないと、登録者を集めただけで終わってしまうかもしれません。
方針を切り替えたことで買い取り率が上昇
そこでこの会社では、登録数よりも、査定件数、買い取り件数をいかに伸ばすかに方針を切り替えました。その結果、1カ月あたりの登録件数は減少しましたが、前よりも査定を目的とする人がランディングページを訪れるようになり、買い取り率も上がり買い取り1件あたりにかかるコストを抑えることができました。広告代理店を変えてみた結果、査定をしたい人だけを取っていく路線に変更してトンネルから抜け出すことができたという事例です。
ネットワーク技術の進歩は目覚ましく、専門家でない限りその技術を用いる意味や効果を正しく判断することができません。アドネットワーク、DSP(デマンド・サイド・プラットホーム)、SNS、コンバージョン……ウェブマーケティングの現場では、知識のない経営者にとってはチンプンカンプンな言葉が飛び交います。発注した側が肝心の効果を実感できていないにもかかわらず、ウェブマーケターたちは「コンバージョンが何件増えた」などと誇らしげに語り、なんだかよくわからないうちに煙に巻かれてしまう――そんな茶番劇が繰り広げられているのです。
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