大飯原発が左右する、原発再稼働の行方 本格化する原発選別 大飯の判断が試金石に
再稼働は2~3基か
大飯の評価、新基準の法制化を経て、いよいよ安全審査が始まる。まずは、どの電力会社がどの原子炉の再稼働を申請してくるかが焦点だ。
7月中にも真っ先に申請されるとみられるのが、九州電力の川内原発1、2号機と四国電力の伊方原発3号機、そして北海道電力の泊原発1~3号機。ただ、審査の期間や再稼働の可否は定かではない。
規制委は3チーム制で審査を行い、原子炉1基当たりの審査期間について「一般的に半年ぐらいはかかる」(田中委員長)との認識を示している。新基準への設備対応や地元同意などから見て、再稼働の可能性が最も高いのが川内、伊方と目されるが、再稼働できたとしても14年の初めごろとみられる。
泊原発については、敷地内断層や基準津波などの点で今期中の認可は難しいだろう。また、関電の高浜原発は会社側が極力早期の申請を目指しているが、今のところ未定。美浜原発は敷地内断層の調査を控えており、規制委の判断が出るまでは申請は受け付けられない。
その他の原発はさらにハードルが高い。大半が福島第一原発と同じ沸騰水型原子炉(BWR)であるため、格納容器のフィルター付きベント施設の整備が再稼働時までに要求されている。その対応だけでも1~2年かかり、今期中の申請は難しい状況だ。なお、加圧水型原子炉(PWR)は設置が5年間猶予されている。
東京電力の場合、まず福島第一原発5、6号機、第二原発1~4号機の再稼働申請は論外。残る柏崎刈羽原発1~7号機のうち、会社側は中越地震の影響で耐震強化工事が必要な2~4号機を除く炉の早期再稼働を目指すが、条件は満たされていない。ベントは今年1月に7号機、2月に1号機が基礎工事に入ったものの、本体設備の詳細設計は終わっておらず、完工のメドは立っていない。
そもそも東電に原発運営者としての資格があるのかという議論もある。福島原発事故の原因究明も終わったとはいえず、汚染水問題をはじめ事故収束のメドも立たない。柏崎刈羽の早期再稼働を前提としている総合特別事業計画は、根本的に見直しが避けられない状況だ。
原発が稼働しなければ赤字が続く電力会社は多い(表)。ただ今期中の再稼働申請は少なく、認定もせいぜい2~3基にとどまるだろう。申請を棄却されたり、廃炉の選択を突き付けられたりする原子炉の数が上回る可能性が高い。過去のずさんな原発運営を抜本的に見直す過程では必然だろう。
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