北朝鮮を突き動かす、国内の“脆弱性” ダニエル・スナイダー氏に聞く(上)

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――どうすれば北朝鮮は、メンツを失うことなく、矛を収めることができるのか。

多くの人々が、その点を気にかけてきた。北朝鮮が、これまでの好戦的な態度を方向転換させた背景には、いったい何があるのだろうか。

北朝鮮はケソン工業団地を閉鎖すると決定したが、この動きは実に気掛かりだ。ケソンの閉鎖は北朝鮮にとってほとんど意味がなく、また、面目を失うことを恐れて当初の緊張拡大を後退させたとしたら、それは北朝鮮の無能さの産物だとも思えるからだ。

私は、できれば、北朝鮮が譲歩する道筋が描ければよいと思う。米韓両国は、先頃、合同軍事演習を終えたばかりだ。そこで北朝鮮政府としては、北朝鮮が強く出たことで「帝国主義の戦争好きなやつら」を引き下がらせた、と主張することができるのではないか。

朴大統領は中国との協調を重視

ところで、ケリー国務長官と、韓国の朴槿惠大統領は、協議に応じる用意があると述べた。北朝鮮はこの申し出を拒否し続けるだろうが、それでも実際には打診の存在は知っている。

朴大統領は、近いうちに中国を訪問することになっている。これは朴大統領が、北朝鮮問題に限らずもっと広い分野において、中国との協調を重視しようとしていることの現れだ。中国側としては北朝鮮に対し、挑発をやめ、協議のテーブルに戻るようにとの、明確なメッセージを送っているようだ。ただし、北朝鮮が中国政府の言うことに耳を傾けるかどうかは、また別の問題だ。

北朝鮮は準備が整った段階で、受け入れ可能と見た提案をひとつ選ぶのではないか。そしてそれを自らの勝利か、または相手方の弱さの現れだという話にまとめるのではないかと思う。おそらく私は楽観的すぎるだろう。それでも私は、このような道をたどる可能性のほうが、緊張が高まってやがて紛争につながる可能性よりは、ずっと高いとみている。

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