なぜ呉服屋「さが美」争奪戦は後味が悪いのか ファンド争奪"泥仕合"が決着したが・・・

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ユニーグループから投資ファンド傘下に入った呉服チェーン、さが美。上場を維持したまま、経営再建に道筋をつけることができるのか(記者撮影)

呉服専門チェーン・さが美をめぐる争奪戦に終止符が打たれた。

ユニー・ファミリーマートホールディングス(HD)は10月11日、傘下のさが美の株式を投資ファンドのアスパラントグループに売却すると発表した。企業再生ファンドのニューホライズンキャピタルがアスパラントより高い価格で買い取ることを表明していたが、最終的にはアスパラント側にさが美の再建が託された。

ユニー、リストラの余波

事の発端は8月中旬にさかのぼる。9月1日にファミリーマートとの経営統合を控えた旧ユニーグループHDは、事業の柱である総合スーパーに経営資源を集中させるため、非中核事業の整理を急いでいた。

8月までにはホームセンター事業から撤退。ジャスダック上場の婦人服専門店パレモもフェニックス・キャピタル系が組成した投資ファンドへの売却を決めた。低迷していたさが美についても、8月17日に全保有株式(発行済み株式の53.86%)、総額約30億円でアスパラントグループに売却する方針を公表していた。

アスパラントは1株56円で8月18日からTOB(株式公開買い付け)を開始。公表直前まで80円前後で推移していた株価より3割ほど低く設定したのは、東証1部への上場維持をするためにほかの株主がTOBに応じないようにするためだ。

このまま順調にアスパラントによるTOBが進むかと思われていたが、9月27日になって、ニューホライズンが対抗買収案を発表したのだ。同社はかつて和装卸の市田を再建させた実績を生かせると判断し、アスパラントとの争奪戦に打って出た。

ニューホライズンが提案した買い付け価格は1株70円。再建資金として5億円の第三者割り当て増資計画も盛り込んだ。さらに9月30日は買い付け価格を1株90円にまで引き上げると発表したことで、ニューホライズン側の買収総額は約42.8億円となり、アスパラント側を大きく上回った。

金額面ではニューホライズン側が優れていたにもかかわらず、ユニー・ファミマHDは計画通りにアスパラントへの売却を決めた。

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