東京・大阪の「通勤時間」はやはり長かった 電車に乗っている時間は意外と短いが
通勤・通学にかかる所要時間のうち、電車の乗車時間以外に考えられるのは、自宅から最寄り駅までや、目的地付近の駅から職場・学校までの所要時間、さらに乗り換えにかかる時間などだ。これらの平均的な数値は、国土交通省が5年に1回実施している「大都市交通センサス」のデータから知ることができる。自宅から最寄り駅まで、駅から職場・学校までの平均所要時間のほか、アクセス手段なども示されている。調査の条件が異なるため完全に正確ではないが、マクロミルの調査結果と照らし合わせると、東京、大阪の通勤・通学の実態がある程度見えてくる。
2010年に実施された大都市交通センサスのデータでは、自宅から最寄り駅までの平均所要時間は首都圏、近畿圏ともに約11分。交通手段はどちらも徒歩が最多で、次いで自転車、その次がバス・路面電車の順となっている。一方、駅から職場や学校までの平均所要時間は、首都圏が約10分なのに対して近畿圏は約12分とやや長い。こちらの交通手段は徒歩が圧倒的多数となっており、2番目に多いのはバス・路面電車で、自転車は少ない。
いずれにせよ、自宅最寄り駅までのアクセスと、電車を降りた駅から職場・学校までの所要時間で20分以上を費やすのが平均的な通勤・通学者の姿ということになる。
乗り換えには平均4分超
さらに、電車での通勤・通学で避けて通れないのが乗り換えだ。ここでも一定の時間が必要になる。乗り換えの回数という点では、JRの「上野東京ライン」開業や地下鉄と私鉄の相互乗り入れ拡大が進む東京の鉄道網が有利なようにも思えるが、実際にはわずかな割合とはいえ、乗り換えが少ないのは大阪という結果が出ている。
マクロミルの調査によると、通勤・通学の際に「乗り換えがない(0回)」と答えた人の割合は、東京が28%なのに対し大阪は35%。最も多いのは東京、大阪ともに乗り換えが「1回」のケースだが、こちらも東京が46%、大阪が40.3%と東京が上回っており、実際には東京のほうが乗り換えを強いられるケースが多いことがわかる。
これに対して、乗り換えの際に要する距離は近畿圏のほうがわずかに長い。2015年に実施された第12回大都市交通センサスの速報版データによると、首都圏の乗り換え移動距離(水平方向移動距離)の平均は191.6m。これに対し、近畿圏は220.3mと30mほど長い。だが、ラッシュ時の乗り換えに要する時間はどちらも同じで、平均約4.4分。オフピーク時なら首都圏は平均約3.4分、近畿圏は約3.8分と差が出るものの、首都圏の乗り換え駅のほうが混雑が激しいためか、ラッシュ時には通常より1分ほど余計に時間がかかってしまうのだ。
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