おわかりになっただろうか。正解は、上が売りやすく、下が売りにくい物件である。
重要なのは「可変性」
これからの時代に求められる住まいの能力とは、ズバリ「可変性」である。ここで言う可変性とは、さまざまなニーズに対応できる間取りであることだ。
2009年6月に施行された「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」に代表されるように、今後の日本においては、住まいをきちんと手入れし、長持ちさせていくことが法律でも求められている。その基礎となるのが「可変性」である。
2人だけの住まいから、子育て期に入り、その後、子供は巣立ったり、両親とともに暮らしたりする。やがては年を重ね、そしてその家は、子孫へ住み継がれていく。それに対応するために必要なのは、建物の可変性にほかならない。
実は、先ほどご紹介した「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」に定める住宅の定義として、共同住宅にはこの「可変性」が求められているものの、木造一戸建て住宅には求められていない。しかし、この「可変性」こそが、将来需要のある間取りになることは間違いない。単身世帯の増加、核家族化が顕著なこれからの時代に、「可変性」のない間取りは、その価値を失っていく可能性が非常に高い。
具体的には、先ほどの上の間取りのように、4隅にきちんと体力壁が施され、建物内部には極力柱や梁がない間取りだと、間取りを作り替えやすくなる。もちろん、そのほかに設備配管の点検や修繕、交換のしやすさなど、いくつかの重要な点があるが、まず間取りの可変性がなくては、将来の需要に応える間取りとはいえない。
また、1階部分に8帖以上の部屋があることも、将来的に有望である。たとえば高齢の両親との同居や、自分自身が高齢者になった場合を考えたとき、対応しやすくなるという利点があるからだ。
需要の少なくなる間取りの特徴
反対に、人気の下がる間取り、つまり需要が少なくなる可能性のある間取りが、今、申し上げたことと反対の間取りといえる。
流行に乗った間取り、たとえば著しく吹き抜けの多い間取りや、必要以上に細分化された部屋数、不整形な土地に配された不整形な間取りは、可変性が乏しい。吹き抜けのある家は、購入するときはとてもすてきで、夢が広がる。しかし、その後、住み続ける中でのメンテナンスの大変さは、あまり知られていない。
わが国には四季があり、高湿と乾燥を繰り返し、それに応じた空気の流れが室内を回る。何メートルも上のクロスがどうなるか、購入前にぜひ考えを巡らせていただきたい。
また、不整形な間取りには、当然、柱や壁が多くなり、買った時点での間取りを変えずに使わざるをえず、将来の需要に対応できない場合が多々ある。
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