どうせなら参院選前に、全閣僚で靖国参拝せよ 一言ポリティクスにモノ申す

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政策に一貫性がなく、高くつく“政策揺り戻しコスト”

私が呆れるのは政権が変わるたびに、アジア外交の重要な基礎である靖国問題へのスタンスがころころ変わり、国民のみならず諸外国の政策に大迷惑をかけていることだ。

戦後のアジア外交再建の基礎であるだけに、政府レベルでは一貫した政策がなければ諸外国も対日政策を変えざるをえないが、日本では右派政権が政権を取るたびに参拝したり、大反発を受けてまたしばらく参拝を控えたり、また、時間をおいてどさくさに紛れて歴史問題や靖国問題を蒸し返したり……と、一貫性が著しく欠如してきた。

これでは、そのたびに侵略戦争の被害を受けた国々が反発せざるをえず、そして和解に向けた努力をし、そしてまた過去を否定するような発言が繰り返され周辺諸国がそれに反発し……という非生産的なサイクルが延々と続くため、日本、韓国、中国すべての関連諸国に、著しく高い外交の政策調整コストが発生している。首相は参拝するにしてもしないにしても、せめて一貫してブレずにやってほしい。

継承される一言ポリティクス――首相の感情的な対応

安倍政権はCM戦略として“心の問題”“外国の脅しに屈しない”という小泉氏が多用したような一言キャンペーンを繰り返しているが、首相は、国民が靖国問題の全体像など理解できず、15秒CMを繰り返せばそれをオウム返ししてくれるだろうと、日本人の平均的知性レベルを過小評価しているのではないか。

心の問題には“加害者の心の問題”と“被害者の心の問題”があり、(たまたま今日ネットのニュースを見ていたら爆笑問題の太田さんや大橋巨泉さんも“幼稚な論法”だとおっしゃっていたようだが)、国内からも反発が強いのに “外国の脅しに屈しない”というのは、意図的に論点をそらすためのいささか卑怯な(ミスリーディングな)フレーミングである。

実際は「敬愛する祖父・岸信介氏をはじめとする戦時指導者に対する首相の個人的思いに反対する、国民や国際社会の反発はすべて無視する」というのが現実に近い。そもそも首相自身の親族がA級戦犯合祀問題の当事者であるためか、安倍氏自身が極めて感情的になってしまっており、結果的に国にとって必要な、国民に教訓を齎す歴史総括を冷静・客観的に行えていない。

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