異常事態が続く日銀人事 政治は知らん顔 副総裁は空席のまま

異常事態が続く日銀人事 政治は知らん顔 副総裁は空席のまま

おいおい、どうなっているの?

そう尋ねたいことがある。お世辞にも上等とは言えない日銀総裁人事のドタバタ劇が終わった後、空席のままの副総裁と審議委員の人事をめぐる話が消えてしまっている。

「永田町では誰も話していない」

ある自民党議員は、そんなこともあったかね、といった風情でこう語っている。困ったことだ。

おさらいしたい。正副日銀総裁の人事という問題が3~4月にあった。首相が提示した候補者に対して衆参両院の同意が得られれば、それで決定するという人事決定方式。手続き的にはそれだけのことだった。

ところが、もつれにもつれた。参議院の主導権を握る民主党が政府が提示する候補者に関して、立て続けに不同意のカードを切ったからだ。

民主党は「財政と金融の分離」の持論からして、財務省出身者の就任にダメ出ししたが、政府というか、福田康夫首相はその民主党の声は聞こえませんとばかりに、次々に財務省出身者を候補者として提示した。

結果的に、衆参両院の同意を得て副総裁に就任していた白川方明(まさあき)氏が4月9日、総裁に昇格した。4月11日にワシントンで開催されるG7(先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議)に間に合わせた格好だった。白川氏は日銀の実務経験が豊富である。立派な人柄である。

結果オーライと言いたいが、それで万事よしとはならない。

政治は猛省せよ

おそらく、白川総裁が日銀史上、最短任期の副総裁として、温める暇もなく立ってしまった副総裁のいすが空いている。それだけではない。もう1人の副総裁には審議委員だった西村清彦氏が就いた。そこで、今度は審議委員が1人少なくなってしまった。

本来、9人で構成する日銀政策委員会は今、7人で議論している。先日は、正副総裁がそれぞれ海外出張して、日銀には正副総裁がいなかった。もちろん、そういう事態を想定したルールは日銀内にはある。現状でも日銀の業務が回らないということはないが、まあ、奇天烈(きてれつ)な風景ではある。

ましてや現在、世界経済は平時ではない。金融、資源価格など激しい状況が発生している。国内景気も微妙な情勢になってきている。そのような中で、わが国以外で中央銀行の体制が盤石ではない国など存在しないに違いない。

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