知らないと損!使える5つの「経営学用語」 「イノベーターのジレンマ」を説明できますか

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ただしFFPはどんな分野でも有効というわけではありません。少額還元のポイントカードなどはスイッチングコストが低いので、囲い込みは容易ではありません。とはいえ、この方法で顧客の囲い込みをする企業は依然として多くありますので、知っておいて損はありません。

科学的に研究するリーダーシップ論の台頭

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⑤PM理論

優れたリーダーとはどんなリーダーか。みんなそんな話が大好きです。戦国時代の武将の話がビジネス誌をにぎわせ、「リーダーシップ論」と称する某大学の人気授業では、経営者を次々と呼んできては、とにかく武勇伝を聞きまくるのだとか。

実際、第二次世界大戦の頃までは、リーダーの資質が注目されていました。それが1950 年代になると、リーダーの資質ではなく、リーダーシップのスタイルを科学的に研究するリーダーシップ論が台頭します。

アメリカのミシガン大学では、リーダーシップ論で有名なリッカートが中心となってリーダーの行動と業績の関係を調べました。その結果、たとえば、上に立つ人間が部下を絶対服従させ、がんがん働かせれば、短期的には業績はよくなるでしょうが、長くは続かず、不満がたまって人が辞めていく……。対照的に、部下を尊重するようにすれば、長期的に業績が向上していくことがわかりました。

アメリカのオハイオ州立大学では、部下の仕事環境を整える構造づくりと部下への配慮の2次元でリーダーシップをとらえました。そして、この両方で高いリーダーシップ行動を取ることがよい結果につながるということを導き出しました。ある意味当たり前の内容ですが、改めて言われてみるとなるほどと思う方もいるのではないでしょうか。

日本でも同様のことを提唱した人がいます。心理学者である三隅二不二です。三隅は、集団における目標達成や課題解決に関するP行動(performance)、集団の維持に関するM行動(maintenance)の両方を兼ね備えたリーダーが望ましいとする「PM理論」を提唱しました。

以上、5つの経営学用語についてご紹介してきました。日常の仕事などで何らかお役にたてばと思います。

高橋 伸夫 東京大学大学院経済学研究科教授、経営学者

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たかはし のぶお / Nobuo Takahashi

東京大学大学院経済学研究科教授、経営学者
日本企業の意思決定原理に関する研究と、企業の人事・人材育成システムのほか、組織学習に関する研究を専門とする。主な著書に『できる社員は「やり過ごす」』(日経ビジネス文庫)、『組織力』(ちくま新書)、共著に『知の技法』(東京大学出版会)などがある。

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