マック、無印が「セルフレジ」を導入するワケ

外食、小売りで導入、人手不足解消の切り札か

また、2010年以降からは、それまでの購入商品のバーコード読み取りから精算まですべて客が行う「フルセルフ型」に加え、読み取りは店員が行い、代金の精算だけ自動精算機で行う「セミセルフ型」の導入も進んでいる。

「セミセルフ型はユーザーのとまどいが少ないのでレジ通過時間が短くなり、万引きなどの問題も減少する」と、セミセルフ型を中心にPOSレジを展開する寺岡精工の西村昌弘リテイル事業部部長は語る。

同社のセミセルフレジの標準価格は、商品の読み込み機器が160万円、自動精算機が270万円程度。読み込み機器1台に対して精算機が2~3台など、さまざまな組み合わせが可能だ。

スーパーや量販店を中心に導入店舗はここ数年で急速に拡大してきており、2013年に58店舗だったものが、2014年に107店舗(前年比84%増)、2015年は301店舗(同2.8倍)、そして今年は8月末時点ですでに300店舗を超える導入実績となっているという。

専門店やファーストフードに導入拡大するワケ

寺岡精工の対面式セミセルフレジ(記者撮影)

そして、このようなセルフレジ導入の動きが、近年アパレルやファーストフードなど他業界にも波及してきている。背景にあるのは、外国人観光客の増加にともなう外国語対応の必要性と、人手不足を背景とした人件費の上昇だ。

日本マクドナルドでは、セルフレジを試験導入する理由として、「ほかの客を気にせずに時間をかけてメニューを選ぶことができるなど、利便性の向上につながる。外国語の表示切り替えができるため、外国人観光客対応にもなる。試験導入の結果によって、他店舗にも拡大するかどうか検討する」と、説明する。

また、近年の人件費上昇や人手不足も、導入の拡大を後押しする。全国的に最低賃金の引き上げが進んでおり、東京都では2016年度の最低賃金が過去最大の上げ幅である25円上昇、932円となった。

小売店などの現場からは、「人手不足でレジ業務などに従事する人員の確保が大変。人材派遣会社に頼むと人手は確保できるものの、人件費はおおよそ2割増しとなってしまう」との声もあがる。

もうひとつ隠れた理由が釣り銭の渡し間違いなどの解消だ。外食業界の場合、釣り銭の渡し間違いなど金銭差異がおよそ、売上高の0.1~0.2%を占めるケースもある。従業員が現金を直接扱わないセルフレジや自動レジを導入することで、こうしたミスを減らすことができる。

国勢調査では、2015年10月1日時点の日本の総人口が、前回調査の2010年比94万人減となる1億2711万人となり、1920年に調査が始まって以来初めて減少に転じた。このような人口減少社会は今後、ますます本格化することが予想されている。

このような背景もあり、セルフレジの導入は食品スーパー、量販店、小売店などでますます加速していくことが予想される。また、中小の医療クリニックなど、導入される領域も拡大していきそうだ。

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