――実際の例を教えてください。
夫のケータイに送られたLINEやスタンプを見て、妻が弁護士事務所に駆け込んできます。「ウチの夫が不倫している!」と。最悪なのは、夫の会社にクレームを入れられた場合。「会社の監督責任」「業務中に社員同士のLINEを許しているのか」という話にまで発展します。実際は不倫などしていないのに、男性も女性も、やっかいな事態に巻き込まれてしまうのです。
こういうことがあると、結果的に「冤罪(不倫していない)」と明らかになったとしても、上司が迷惑の巻き添えをくっているので、後々の昇進に響く可能性もあります。就業規則にもよりますが、職場の風紀・秩序を乱した、ということで「戒告処分」を受けることだってあるのです。
――どのように回避すればいいでしょうか。
LINEなどは便利ですが、発言ひとつ、スタンプひとつで冤罪になりかねないことを日頃から肝に銘じること。「疑われるような行動をしない」ことも、日頃からできる対策です。どんなに仕事上でつながりが深くても、2人きりで会うことは避ける。個室のある店や「お洒落なバー」には行かない、など、自分でルールを決めることです。
昨今はベッキーさんや乙武洋匡さん、中村橋之助さんなど、芸能界でのニュースが続き、テレビドラマも不倫をモチーフにしたり、時には美化したりするものが増えています。配偶者が不倫に敏感になっているため、実際に不倫している場合には発覚しやすく、していなくても疑われやすい土壌があることを認識してください。
女性の相手は年下社員、取引先、PTAなど
――巻き込まれる男女比に特徴はありますか。
実は、最近は男性だけでなく、女性の浮気・不倫も多いのです。男性の配偶者が相談者として駆け込んでくるケースも増えています。私の事務所では、相談者は「6:4=男性:女性」。働く女性もそれだけ多く不倫している、または不倫を疑われています。
女性の相手として多いのは、取引先や社内の年下社員。職場だけでなく PTAなどで出会ってしまったというケースも多いようです。
――最近は「モラハラ」「アカハラ」といった新しいハラスメントの陰に隠れてはいますが「セクハラ」を巡っては新しい流れはありますか。
「セクハラ」が広く知られるようになり、言葉が浸透したことの裏返しなのかもしれませんが「自分は大丈夫」と思い込んでいる人が多いように感じます。メディアでセクハラに関する記事を掲載したりしても「男性に読まれているな」という手ごたえがないのです。
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