財務省出身の黒田日銀総裁の考え方

市場動向を読む(為替)

だが、現実的には、日本政府は向こう2年間で2度の消費税引き上げを計画している。政府、財務省は補正予算などで景気下支えを図ってくるだろうが、実質所得と実質消費が圧迫され、経済成長率は減速を余儀なくされよう。そうした中で、2%のインフレ目標を達成するには、失業率が高止まったまま、インフレ率を上昇させる必要があるが、そのためには人々のインフレ期待を変えるしかあるまい。過去半年間、債券市場におけるインフレ期待(BEI)が急上昇しているが、これは主には2014年の消費税引き上げに伴う物価上昇を織り込んでいる可能性が高く、持続性のあるインフレ期待の萌芽とは考え難い。

先週、日本経済新聞が報じたところによると、日銀は26日に公表する展望レポートで、従来0.9%としてきた2014年度のインフレ見通しを1.5%前後へ上方修正し、さらに2015年度に2%近くへ上昇するとの見通しを示す予定だと言う。これ自体は短期的に、追加緩和観測を後退させることになろう。

インフレ見通しが修正される10月展望レポートに注目

だが、実際には、上記の通り、消費税引き上げの影響を除けば、2%のインフレ達成は極めて困難で、人々の期待形成を変化させるには、相当な金融緩和が必要と思われる。デフレ克服、2%のインフレ達成をマンデートとして掲げる黒田日銀が追加緩和に踏み切る可能性は高かろう。財政再建の骨格を担う消費税引き上げを実現するためにも、景気下支えを強く意識した金融政策を実行するはずだ。シティグループの日本株ストラテジストは、最終的に日銀はリスク資産購入を強化する一環で、日本株の市場購入を始める可能性さえあると指摘している。

そうした政策判断は、今回上方修正されるインフレ見通しが下方修正されるタイミングで行われ、為替市場でも円安が進行しやすい局面を迎えるだろう。即ち、半年に1回公表される展望レポートの重要性が従来以上に高まるはずだ。次回は10月に予定されている。

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