当然?逆風吹くトランプの「ゴルフビジネス」 所有コースが主要試合会場から外される動き

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 これだけではない。2015年10月には、PGA(全米プロゴルフ協会)がトランプ氏所有のコース、トランプ・ナショナル・ゴルフクラブ・ロサンゼルスで開催予定であったPGAグランドスラム(4大メジャー、マスターズ、全米オープン、全英オープン、全米プロの優勝者を集めるトーナメント)が中止となった。

またLPGA(全米女子プロゴルフ協会)コミッショナーのマイク・ワン氏も2015年7月末、やはりトランプ氏所有のトランプ・ターンベリー・リゾートで開催された「全英リコー女子オープン」で、「会場変更はタイミングで不可能であるが、トランプ氏の発言を支持するものではない」と表明していた。

さらにR&A(全英ゴルフ協会)も、過去4回全英オープンが開催されているトランプ・ターンベリー・リゾートでの全英オープンの開催の見込みがないことを発表している。以上のように、ゴルフ界ではトランプ氏に厳しい逆風が吹いている。

不動産開発に続いてゴルフ場開発へ

ここで、トランプ氏とゴルフのかかわりをみていこう。トランプ氏は父親が経営している不動産開発会社に入り、その後独立して70年代マンハッタンの不動産開発で財をなし、37歳で有名なトランプ・タワーを建て不動産王と呼ばれるようになった。その後不動産市場の低迷で多くの負債を抱えるなどしたが、90年代後半に復活する。テレビなどメディアへ多く露出することで「トランプ」ブランドを確立、高級、ゴージャスなイメージを出している。フォーブス誌によるとその資産は45億ドル(約4500億円)と言われている。

不動産開発に続いてゴルフ場開発に乗り出し、現在、米国、スコットランド、ドバイなどで17のゴルフコースを所有している。最初に手掛けたゴルフコースは1999年にオープンしたトランプ・インターナショナル・ゴルフクラブ・パームビーチ。その後次々と資金を投入しコースを買収・開発し、ジャック・ニクラウス、トム・ファジオといった有名設計家を起用してコースの改修・造成に取り組んできた。さらにクラブハウスも改修して「トランプ」のブランドを冠し、高級ゴルフコースのイメージを作り出している。

直近では、マンハッタン郊外で摩天楼が眺望できる高級パブリック、トランプ・ナショナル・リンクス・フェリーポイントを200億円以上かけて改修し、2015年に開場させた。週末にはプレー代、キャディー代など合わせて400ドル以上と超高価格のゴルフ場となっている。

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