反対から賛成へ。政策委員の不可解な変心 1カ月前に反対したメンバーの理屈はどこへ?

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求められる経緯の説明

長期国債買い入れの一本化案は2月の会合でも「選択肢になりえる」と、複数の委員が言及している。だが3月の議事要旨を見るかぎり、枠組み変更に伴う論点が出されただけで議論は煮詰まっていない。フライングともいえる白井氏の提案は、新総裁の方針転換を見据えた露骨な地ならしに見える。

財務省時代から黒田氏を知るアジア開発銀行研究所の河合正弘所長は、「(黒田氏は)自分の考え方を押し付けるようなことはしない。なぜそれが必要か、理由を説明し、相手に真剣に考えてもらい、説得していく」と話す。黒田氏の説得力のほどはともかく、その就任後たった2週間で翻意する政策委員の見識は問われてしかるべきだ。

金融政策決定会合の議事録が公表されるのは10年後。だが、政策委員は、講演や記者会見を通し、自身の認識や金融政策に対する考え方を述べることができる。賛成に回った委員だけでなく、白井委員も、経緯をきちんと説明する必要がある。巨額の金融緩和だけに、今後は効果と副作用を見極める議論がカギを握る。重大な局面で政策委員に求められているのは、風見鶏になることではなく、確たる信念を持つことだ。

週刊東洋経済編集部
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