「GitHub」の働き方革命は何がスゴいのか? アップル、LINEが採用した「未来の働き方」

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GitHubは、オープンソースに対して無料でサービスを提供しており、数多くのプロジェクトを支えている。最近では、アップルがオープンソース化したiPhoneアプリなどを開発するプログラミング言語「Swift」も、GitHubを利用するようになった。

すべての開発者がオープンソースプロジェクトに携わっているわけではないが、GitHubは、プログラミングによりオープンな「会話」を取り入れることに成功した。

複数の人たちでひとつのプログラムを開発するメリットは、お互いの視点でチェックしあえる点だ。これによって、バグやエラーを排除し、より品質の高いプログラムを素早く作り出すことができる。協調プログラミングの醍醐味とも言える。

GitHubで重要な発明は、「プルリクエスト」と呼ばれる、新たな変更部分をチェックしてもらう通知機能だ。前述のとおり、変更箇所が明示され、そのコードを見ながらコミュニケーションを行うことができる仕組みを用意した。

プログラミングとコミュニケーションを融合させたことが、GitHubに大きな価値を作り出した。GitHubのキャッチコピーは「ソーシャル・コーディング(Social Coding)」だ。

オープンソースコミュニティを発展させたGitHubの文化は、より汎用性の高いものだととらえている。仕事を共有し、コミュニケーションを取り合う、つまりコラボレーションを主体としたモダンな働き方は、開発者だけでなく、若い労働者にとっても、大きな共感を呼ぶことになる。

LINEに根付くGitHubのワークフロー

GitHubは前述のとおり、オープンソース開発に対しては、プラットホームを無償で提供している。しかし同社のビジネスモデルは、チームや企業でもGitHubを使いたいという有料ユーザーからの収益だ。

LINE開発1センターLINE開発2室の稲見康宏氏

GitHubの社内での活用事例として登場した企業に、LINEがあった。
月間ユーザー数2億2000万人、100以上のモバイルアプリをリリースするLINEは、2012年にGitHubを導入し、社内でのアプリ開発に活用してきた。LINE開発1センターLINE開発2室の稲見康宏氏は、GitHubのプルリクエスト機能の社内活用に対して、次のように評価している。

「社内の開発のカルチャーにGitHubを取り入れ、仕事のクオリティが高くなり、開発が効率的になりました。韓国にも支社があるため、離れた場所でのコラボレーションが必須だったからです。仕事とはいえ、自分が楽しくやりたいというニーズもあります。GitHubでは、普段の仕事にコミュニケーションが組み込まれており、エモーショナルなやりとりや、和やかな雰囲気を作ることに成功しています」(稲見氏)

社内ではGitHub Enterpriseを利用しているが、社外でも、別のGitHubの領域を使ったコラボレーションを進めているという。アプリの共同開発の局面でも、GitHub上のコラボレーションが“共通言語”となっているそうだ。

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