31歳がハマった「結婚願望ゼロ彼氏」という罠 東京カレンダー「新・婚活事情」<5>
もしくは、彼に他に好きな人が出来てフラれてしまったり、最悪、彼が心変わりをして、他の女性と結婚してしまう可能性だって、ゼロではないのです。
私だって、そんな無限の可能性を考えると、不安で夜も眠れず、気が狂いそうになります。しかし、私は、結婚できないからと言って、すんなり彼と別れることが出来るほど、器用でも、頭の良い女でもないのです。
恋人としては紳士で優しく、趣味も価値観も合い、居心地の良い彼。そんな彼に背を向けて一方的に立ち去れるほど、私は強くはないのです。
同じ結婚を出来ないにしても、相手が既婚者であったり、浮気性、DV、または経済的な問題など、何かしらでも明確な理由さえあれば、まだ諦めがついたかもしれません。
将来は約束できないと宣告されながら、それでも愛していると抱きしめられる日々は、私にとって、身体の皮膚を薄く少しずつ剥がされていくような、鈍い痛みを断続的に与えられている感覚があります。
それでも、私も、やっぱり彼を心から愛しているのです。
どっちつかずで、独り、取り残されていく
時々、facebookの写真を、ぼんやりと見返します。26歳の頃の自分は、溌剌と目を輝かせ、何とも希望に溢れた表情をしていました。
タイムラインの中には、何人もの友人の結婚式や出産祝いの写真が、季節ごとに並んでいます。そこに一緒に映る私の姿は、日を追うごとに、どんどん幸も影も薄くなっているのが、自分でもよく分かります。私はすっかり、何の障害もないまま、平和に日々一緒に過ごす恋人がいながら、ただプロポーズをされないという、哀しい女に成り下がってしまいました。
ほとんどの友人は反対をしますが、稀に、「でも最近は、結婚が全てでもないし、そういう形が絶対にないという時代でもないと思う」と言ってくれる友人もいます。そんな強い信念を持ち、結婚への希望を振り切れたら、楽になるのでしょうか。
しかし、私はまだ、いつか彼がプロポーズに踏み切ってくれるのではないかと、誕生日やクリスマスの度に胸に淡い期待を抱いては、案の定、玉砕し、胸を痛めることを繰り返しています。
そして、彼は来月から、しばらく海外赴任が決定しました。「俺のこと、忘れないで待っていてね」。彼は、愛しそうに私を見つめ、そう言います。果たして、待った先に何を約束されるわけでもないことは充分に分かっていながら、しかし、私は結局、彼を待ってしまうのだと思います。
一般常識としての「結婚」という観念が薄れゆく現代の、その間で、どっちつかずのまま、私のように取り残されていく女は、東京に多く生息しているのでしょうか。
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