(第1回)コンバージェンスとは

さらに、会社四季報を使い、セクターごとにその売上の合計(市場規模と推定)と時価総額を比較すると、TMT業界である情報通信業の売上は29兆円(時価総額:37兆円)とTMT企業の多い電気機器業は82兆円(時価総額:52兆円)で、さらに売上、経常利益と時価総額でセクター別の規模のポジショニングを見ると、輸送用機器、電気機器、情報・通信業の3業種が巨大産業であることがわかります(図4)。また、図4を見る限り、TMT業界が輸送用機器と関係の深い自動車産業と同水準の業界であると理解できます。最近の欧州では世界的に話題となった携帯デジタルプレイヤーの搭載を全面に打ち出した自動車会社のCMも出現しており、小売業や金融業とのコンバージェンスが進んだTMT業界は、輸送用機器業界とのコンバージェンスも進むでしょう。


<画像クリックで拡大>

1兆ドルへの挑戦

経常利益伸び率の予想値は、コンバージェンス型の製品を生み出しているTMT業界の一翼ともいえる電気機器業がトップですが、情報通信業の予想増益率、売上の成長率、株価成長率いずれも低迷、経常利益率の伸び率は減少に転じています(週刊東洋経済3月18日44ページ)。
しかし、DTTでは、製品とサービスのコンバージェンスの世界の市場規模を少なくとも2010年までに1兆ドルを超えると試算しており、これを受けてトーマツのTMTグループはわが国の情報通信業も大きく成長すると考えています(コンバージェンス 1兆ドルへの挑戦) 。
その内訳をみていくと、世界市場ベースで、最も規模の大きい製品とサービスのコンバージェンスはVoIP(Voice over Internet Protocol)の製品とサービスで、2007年には市場規模は1,960億ドルに達し、その関連の製品やサービスを含めると2010年までにはVoIP市場だけで1兆ドルに達すると思われます。この他、2010年までに、携帯電話コンテンツ市場は500億ドル、ネットワーク・ゲーム市場は350億ドル、ダウンロード音楽市場は200億ドルに達すると思われます(「The trillion dollar challenge(1兆ドルの挑戦), DTT(Deloitte Touche Tohmatsu)2005/11/9」。製品とサービスのコンバージェンスではコンテンツが重要な製品とサービスであることはこうした数字の面からも明らかで、音楽や動画などのコンテンツのダウンロード配信はすでに数十億ドルを超えています。今後、コンバージェンスの1兆ドルを超える市場をめぐって、TMT業界の戦いは熾烈なものになっていくことでしょう。
なお、このレポートの意見の部分は私見です。

トーマツの情報メディア通信サービス

池末成明(いけまつ・なりあき)
監査法人トーマツ TMT(情報・通信・メディア)グループ シニアマネージャー
E-mail tmt@tohmatsu.co.jp
URL http://www.tohmatsu.com/
妻、高校1年生の娘と千葉県我孫子市に在住。犬を飼えるよう妻と交渉中。
趣味は、音楽鑑賞(モーツアルト、バッハ、プッチーニ、レハール)、神社めぐり、家系調べ、読書。
昨年は、夢枕獏、キャサリン ネヴィル、ダン・ブラウンと娘の影響で「NANA」にはまる。
ナルニア国物語が映画になったことが嬉しい。小学校からのナルニア国物語のファン。
科学史と各国の古代史に関心。
【経歴】
1957年 東京生まれ
1980年 国際基督教大学 教養学部卒(物理学専攻)
1980年 富士通株式会社 海外事業本部にて中近東・南アジアの通信ビジネス担当を経て、パソコンビジネスの海外マーケティング担当
現在 監査法人トーマツ TMTグループで開発業務管理に従事
【著作】
「コンテンツビジネスマネジメント」(日本経済新聞社、共著)
「ビジネス環境および諸概念-米国公認会計士試験実戦問題集」(中央経済社、共著)
「米国公認会計士試験実戦問題集 ビジネスロー・税法」(中央経済社、共著)
「新・米国公認会計士試験重点解説シリーズ ビジネス・ロー」(清文社)
「米国公認会計士試験重点解説シリーズ ビジネス・ロー」(清文社)他

 

ライフの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 新型コロナ、長期戦の混沌
  • 就職四季報プラスワン
  • 仲人はミタ-婚活現場からのリアルボイス-
  • ぐんぐん伸びる子は何が違うのか?
トレンドライブラリーAD
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
三菱重工と日立 「統合」破談から<br>10年 製造立国の岐路

10年前に統合構想が破談になった三菱重工業と日立製作所。その後両社は対照的な道を歩み、2009年に伯仲していた時価総額は今や日立が大きく上回っています。本特集では明暗が分かれた三菱重工と日立を主軸に、製造立国・日本の生きる道を探りました。

東洋経済education×ICT