結構すごい、浦安市「少子化対策」の全貌 卵子凍結は施策の一部に過ぎない
出会いがなくても婚活パーティーで支援し、出産に際しては卵子凍結保存の助成をし、出産後にはホテル滞在でサポート、保育園も充実させ、医療費も中学生までは補助……と切れ目なく繋がる支援を目指しています。
当事者でない高齢者にも、卵子凍結の話をしにいく
――ほかの自治体ではあまり聞かない、斬新な少子化対策がたくさんあるわけですが、進めるにあたって、反対や批判的な話は来ないのでしょうか?
市民からの反対意見は、ほとんど聞いていません。卵子凍結保存についても、もともとは若年女性のガン患者を救うために動いていることですから。
卵子の老化や2人目不妊で女性が困っていることは、男の人たちは100人いたらほぼ100人みんなが知らないのです。高齢者の方も含め、いろいろなところで話すようにして、市民にも少しずつ広まっていきました。
むしろ、世の中に反対の人がいるというのは、民放のワイドショー番組を見て知りましたよ。行政がやることではないとか、高齢出産を助長するとか。びっくりしましたけど、行政でやるのは初めてのことですから、いろいろ言う人はいるでしょうね。
この話が出てから、日本産科婦人科学会は推奨しないという声も聞こえてきましたが、私はそれもどうかと思っています。出産適齢期があるという基礎知識をもっと早く学校で教える必要もあったのではないでしょうか。
高齢出産だと母体のトラブルや子どもの障害が増えるなど、リスクが多くなることはわかっているわけですよね。
日本は不妊治療大国で、有名な不妊治療専門のクリニックでは、4万2000人もの人が不妊治療をしている。ひとりにつきかかる費用が100万円だとして、42億円という大きなおカネが動いているわけです。不妊治療をする人の平均年齢が40歳を超えていることもあり、それで出産できる人の数は多くはないのが現実です。それで本当にいいのか。より若い時から動けるように支援すれば、もっと出産率も上がるのではないでしょうか。
――もしかしたら叩かれる可能性もある、というところに踏み込むことができる、その理由、市長のモチベーションは何でしょうか?
私は、集団スポーツをやったことがないんです。大学でも武道しかやっていない。だから、協調性はないんです(笑)。自分でこれだと思ったから、やっているだけです。とはいえ公費を使うわけですから、裏付けがないと動けません。だから、順天堂大学医学部附属浦安病院の菊地先生の存在は大きいです。今後、科学的なデータを残してもらうことで、その先を考えていくことができます。
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