結構すごい、浦安市「少子化対策」の全貌 卵子凍結は施策の一部に過ぎない
――高齢者の方の反応はどうでしょうか? 保育園などの問題もそうですが、どうしても高齢者の意見が反映されやすい自治体が多いと感じます。
卵子凍結保存の話などは、老人クラブに行った時にもしているんです。少子化対策をしていかないと、今後本当に大変なんだと。高齢者の方に(今から出産してもらうのは)もう無理ですから、と言うと、皆さんゲラゲラ笑い出すんですけどね。出産適齢期というものがあり、出会いがないならば、卵子を凍結するという手もあります、婚活パーティーもやっています、とお孫さんに伝えて下さいとお話しています。
もちろん、高齢者の主張も聞いています。浦安市では、自治会や集会所の建築費も運営費もすべて市が持っている。老人クラブは建物まで市が建てているし、中学校区に1つずつ公民館がある。他の市では、全体でひとつあるような公民館が、中学校区に1つずつあるわけです。保育園を充実させながらも、高齢者の方々が集まって活動する場所が減っているというわけではないので、理解していただいています。
30億円をポンと用意できたワケ
――浦安市は少子化対策基金として30億円という予算をつけました。そのことからも、この問題に対する本気度が見えます。
東日本大震災の時の液状化でもおわかりだと思いますが、浦安市が災害に弱い街だということは自覚しています。だからこそ、いずれ使う時が来るはずだと、ずっと貯めてきたおカネがありました。だからこそ、こうやって少子化対策として30億円をポンと用意することができたんです。ディズニーランドのおかげで潤っていると思われがちですが、実は法人市民税は全法人で市税全体の1割だけ。個人の方からの税金が大半です。
行政が動くペースは民間よりもずっとゆっくりで、予算化に時間がかかることも少なくありません。でも、順天堂浦安病院の菊地医師が10年以上も続けてきた研究なのですから、私たち行政がさらに3年かけて検討するというのも変ですよね。時間がもったいない。
何年で30億円を使い切ることになるのかわかりませんが、細かい内訳は決めずに、いろいろな角度から必要な支援をしていこうと決めました。
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