東急の大開発で若者の街シブヤはこう変わる 100年に1度の再開発、苦悩するIT企業

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2018年度には、ひと足先に渋谷駅南街区(2)と道玄坂一丁目駅前地区(3)が完成する。渋谷駅南街区は、東急東横線地上ホーム跡地で、オフィスビルが中心となる。渋谷駅の西側に隣接する道玄坂一丁目駅前地区は、2015年に閉店した東急プラザの跡地で、商業施設が中心となるほか、バスターミナルも設けられる。

そして、渋谷駅の南に広がる渋谷駅桜丘口地区(4)では、これまで渋谷駅周辺では供給がほとんどなかった集合住宅を開発し、複合的な街づくりが計画されている。

渋谷には成長したIT企業の居場所なし

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①渋谷駅街区は高さ230mの東棟が2019年度、ほか2棟が2027年度に竣工予定。②渋谷駅南街区は2018年度竣工予定。③道玄坂一丁目駅前地区は2018年度竣工予定。④渋谷駅桜丘口地区は2020年度竣工予定(提供:東京急行電鉄)

ビジネスにおける渋谷といえば、クリエイティブ系のIT企業の集積地として知られている。米国のシリコンバレーになぞらえて、「ビットバレー」の愛称も定着している。ところが、その渋谷から、IT企業の流出が続いている。

「渋谷のありとあらゆる物件を探しました。できれば渋谷に居たかったのですが――」

苦しい胸の内を吐露するのは、2017年1月に本社を「渋谷ヒカリエ」から「JR新宿ミライナタワー」に移転するLINEだ。「渋谷から引っ越す理由は単純です。スペースがない、それだけです」(会社側)。

渋谷ヒカリエ(中央)にはLINE、DeNAが入居する。その手前の渋谷駅周辺は谷間となっているのがわかる(写真:記者撮影)

LINEといえば、今年7月に東京証券取引所一部とニューヨーク証券取引所に同時上場を果たすなど、国内でいま最も勢いのあるIT企業の筆頭格。10月に「LINEモバイル」として格安スマホサービス(MVNO)に参入するなど、今後もしばらくは企業規模の拡大が続くのは間違いない。

そもそもLINEは、2011年に開始したコミュニケーションアプリの爆発的ヒットにより急成長し、2012年に新築ピカピカの「渋谷ヒカリエ」に移ってきたばかり。だが、その後も従業員が増え続け、今年4月時点で社員数は1100人超に達し、近隣のビル2カ所にも入居している。今後のさらなる従業員の増加や、業務の効率化を考慮して、新宿への集約移転を決断した。

「渋谷ヒカリエ」を所有する東京急行電鉄は、「渋谷はIT企業が成長できる場であるのは間違いないが、いまは成長した企業の場所がない」と、危機感をあわらにする。これは、いまに始まった問題ではない。

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