セルジオ越後、「危機の日本代表」を一刀両断 ホームで負けたUAEにアウェーで勝てますか

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大島のことをそれだけ評価しているなら、なぜ、6月のキリンカップで起用しなかったのか(※代表に初めて選出されたものの、試合には出場しなかった)。また、試合の2日前に帰国したばかりの清武弘嗣を先発起用したこともそう。長距離移動してきて、時差ボケもあるわけですから、いつもどおりのパフォーマンスを演じられるわけがないんです。このポジションには宇佐美貴史もいれば、原口元気もいます。小林悠もこのポジションはできる。それなのに、なぜ、コンディションの整っていない清武が選ばれたのか。

海外組はクラブで試合に出られない選手がいたり、長距離移動や時差などがあるからコンディション不良に陥っていたりする。だから、海外組に頼るのは危険だということにようやく気づいたんじゃないですか? ハリルホジッチは「デュエル(※球際での激しさ)が物足りない」と、国内組の文句ばかり言っていますが、国内組でベースを作って、そこに海外組を加えるといったチーム作りが大事なんです。

監督は今、後ろ盾をなくした状態

――かつてのジーコ監督時代(2002~2006年)にも、同じようなことが起こりました。そうした過去の教訓が生かされていない、ということですね。

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でも、ハリルホジッチ監督は、その頃の日本代表のことは知らないわけですから、そうした問題は、日本サッカー協会のしかるべき立場の人が監督に助言すべきです。もちろん、助言していたのに、監督が聞く耳を持たなかったという可能性もありますが。ただ、監督をサポートする体制がしっかりと築かれているのかどうかも疑問です。

というのも、ハリルホジッチ監督は大仁邦彌日本サッカー協会前会長時代に、霜田正浩日本サッカー協会前技術委員長が中心となって2015年3月に招聘した人物です。ところが、その約1年後に会長選挙が行なわれ、田嶋幸三氏が日本協会会長に就いた。それに伴って技術委員長も西野朗氏に変わった。彼らからしたら、自分たちが選んだ監督ではないですから、問題があれば解任し、自分たちの意向に沿った監督を招聘したいと考えていても不思議ではありません。

霜田氏はナショナルチームダイレクターという役職になって一応、残っていますが、ハリルホジッチ監督は今、後ろ盾をなくした状態。クビを切られやすい状況と言っていいでしょうね。チームは下り坂に入っていて、コーチングスタッフと協会の幹部も一枚岩になっているかどうか疑問が残る。そういった意味で、危機的状況にあるのではないかと思います。

飯尾 篤史 スポーツライター

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いいお あつし / Atsushi Iio

東京都出身。明治大学卒業後、サッカー専門誌の編集記者を経て2012年からフリーランスに転身、スポーツライターとして活躍中。『Number』『サッカーダイジェスト』『サッカーマガジン』などの各誌に執筆。著書に『残心 Jリーガー中村憲剛の挑戦と挫折の1700日』(講談社)、構成に岡崎慎司『未到 奇跡の一年』(ベスト新書)などがある。

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