「核保有国」に近づきつつある北朝鮮の思惑 核実験をプロパガンダと見くびることなかれ

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それどころか、1月に始まった核実験によって中国による北朝鮮への経済政策を含めて、同国への制裁を強化する動きが加速している。制裁の目的は、北朝鮮による核・ミサイル開発資金の調達を妨げることだが、制裁の効果については懐疑的な意見が少なくない。これはとりわけ、中国との越境貿易の大部分については制裁が加えられていないことが理由だが、いずれにしても効果を期待するには時間が必要だ。

今のところ、9日の実験に対する制裁は、北朝鮮への送金業務を行い続けている中国の銀行に対する追加制裁など、口先だけのものでしかない。こうした中、米メディアやアシュトン・カーター国防長官などオバマ政権幹部の批判の矛先は、北朝鮮というよりむしろ、同国を封じ込めることができない中国となっている。

もっとも、中国への批判は今に始まったことではないし、中国こそ北朝鮮問題解決のカギを握っているという見方も新しいものではない。そもそも、この発想は中国が自ら、6カ国協議へとつながる交渉のまとめ役をしてきたときに持ち出してきたものだ。しかし中国政府は、核開発は基本的に米政府と韓国政府の脅威に対する対抗措置であるとする北朝鮮の主張も一貫して擁護しており、9日以降の米国の批判に対しても中国外務省も同様の主張をしている。

非核化は体制変化が起こらないかぎりありえない

金正恩・朝鮮労働党委員長の思惑とは?(写真:KCNA/ via REUTERS)

従って、政策的対案は事実上限られている。「もし核兵器の開発が本当に金一族による国内統治の永続化を正当化する中核的手段になったのなら、非核化は体制変化が起こらないかぎりありえない」と、外交問題評議会のスコット・スナイダー氏はブログに記している。

同氏によれば、「体制変化以外に残された唯一の選択肢は、核保有国としての北朝鮮に大人しく従うことだ。これこそが、北朝鮮の現政権が米国とその同盟国に突き付けている戦略的選択肢である」。こうした選択をしないにしても、米国は少なくとも短期的には日韓両国に対して、核による安全保障が損なわれていないことを再確認している。

たとえば、戦略爆撃機の配備や空母などの海軍の動きは、その効果は限定的ながらも、相手にメッセージを送るかなり一般的な方法だ。これに対して北朝鮮は、米国が高性能爆撃機や2つ目の空母など、核兵器を搭載できる戦力を日本や韓国の基地にさらに導入する可能性を考え始めているだろう。少なくとも米国の動きは、米国側の抑止力向上につながるだろうし、場合によっては北朝鮮の体制変化に対する中国の評価を改めさせることができるかもしれない。

ダニエル・スナイダー スタンフォード大学講師

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Daniel Sneider

クリスチャン・サイエンス・ モニター紙の東京支局長・モスクワ支局長、サンノゼ・マーキュリー・ニュース紙の編集者・コラムニストなど、ジャーナリストとして長年の経験を積み、現職に至る。

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