ユナイテッドアローズ、「虎の子喪失」の痛手

高級アクセ「クロムハーツ」を手放す理由

即座の譲渡ではなく、スキームはやや複雑だ。ユナイテッドアローズがまずクロムハーツ事業に関する権利義務を、同社が設立する100%出資の新会社に10月1日付で譲渡。2016年12月から2024年12月まで、8年間にわたり、持ち分を複数回に分けて譲渡していく。

その間は合弁で経営の関与を継続していく形だ。クロムハーツ側にとって自社管理を即座にできるノウハウがない一方、ユナイテッドアローズ側にとっても、売上高や利益の急落を防げる激変緩和になる。

段階的に利益寄与は縮小

持ち分をいつ、どういう割合で譲渡していくかは不明だが、2020年までは連結子会社として運営するとしており、「今後数年間の当社連結業績へ与える影響は軽微」(竹田社長)という。ただ、持ち分譲渡に伴い、段階的に利益寄与は縮小していく。一方、資産は、簿価で56億円ある。売却額は明らかにしていないが、売却による特別利益の発生が見込まれる。

クロムハーツはリチャード・スターク氏が1988年に米ロサンゼルスで設立。高級ジュエリーやレザーアイテム、家具などを扱っている。現在、米国、フランス、日本、台湾など、世界で20店舗以上を展開し、高級ブティックなどでも取り扱っている。

ユナイテッドアローズがライセンス契約を結んで以降、日本におけるクロムハーツの過去10年間の成長は著しい。

クロムハーツの売上高は、2007年3月期の30億円から2016年3月期の114億円へと、約3.6倍に増加。毎年2ケタ増収のペースで伸びていった。平均客単価は約13万円と高額だ。客層は25歳から55歳と幅広く、芸能人などファッションリーダーの愛好者も少なくない。店舗は、旗艦店の東京店(南青山)をはじめ、銀座、原宿、伊勢丹新宿、名古屋、大阪(西心斎橋)、梅田、神戸、福岡、博多大丸の全国10店で展開。ファッションに敏感なエリアで、巧みなブランドマーケティングが奏功、日本でのメジャー化に成功している。

以前からクロムハーツを知る業界関係者は、「15年前ぐらいにシルバーブームがあったが、クロムハーツはその他多くのワイルドアクセサリーとは一線を画していた。その後もライフスタイルブランドとして、皮バッグや家具へ展開していく中、違った富裕層が新規客になっている」という。

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