9月後半に米国株「急落リスク」が高まりそう 米国は自社株買い、日本はETF買いで割高だ

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さらに言えば、利上げのタイミングはほぼ100%わかったからといって、市場の反応まではわからないのが実態である。それは、日銀がマイナス金利を導入した時の市場の反応を思い出せば、容易に理解できるだろう。残念ながら、政策の意図と市場の動きが逆になることは少なくない。これは、市場関係者が感覚で判断し、「このような政策であれば、このように動くのがセオリー」と思い込んでいることが背景にあるのだろう。実際の市場は、その時々の材料に加え、本来進むべき方向というものがある。それは、過去のデータなどを見れば理解しやすくなる。

昨年12月のFRBによる久しぶりの利上げのその後の市場の動きは容易に読むことができた。市場関係者のほとんどが利上げ後のドル高・円安を強力に支持していたが、結果は筆者が指摘した方向、つまり、円高・株安に向かったことは、本欄で何度となく解説し、その結果を読者も確認してきたことであろう。過去のデータを見れば、「米利上げ=ドル高」ではなく、むしろドル安になることはあらかじめ分かっていたことである。

このように、今後の政策がどうなるかを考えるよりも、むしろ政策がとられた場合の過去のデータを理解しておき、政策の結果が出たところでその方向についていくことが、よりスマートであるということになる。もちろん、その時々で市場環境は異なるわけであり、すべてが過去の動きの通りになるわけではない。しかし、少なくとも、このような観点を常に持ち合わせておけば、少なくともパニック的な動きは避けられる。

ドル円の重要なフシ目は104円

さて、20日・21日のFOMCで、FRBはどのような結論を出すのだろうか。それを推測する意味はあるだろうか。さらに言えば、推測してあらかじめポジションを持つことに意味はあるだろうか。筆者は、このような観点からあらかじめ利上げの有無を予測し、ポジションを持つことはあまり賛成しない。むしろ、別の観点から、あらかじめ投資戦略を立てようと考えている。そのヒントが、過去のデータにある。

筆者は、9月19日の週から、市場が変化を見せるのではないかと考えている。データから推測すると、遅くとも再来週ごろには、米国株の急落リスクが高まりそうなのである。まさにFOMCのタイミングにぶつかることになる。これはまさに偶然ではあるのだが、この時期に調整するのは、必然なのかもしれない。いずれにしても、この週には何かしらの大きな変化がみられることになるのだろう。

このような動きの兆候として、最近のドル安に注目している。ドル円は、筆者が重要なフシ目と考えていた104円を超えることができなかった。これは非常に重要なポイントであると考えている。これが将来の予兆であるとすれば、意外に早い時期に想定しているリスクが顕在化するのかもしれない。米国株は自社株買い、日本株は日銀によるETF買いで相当割高になっている。この点にも、9月後半の株価動向に関するヒントがあると考えている。

江守 哲 コモディティ・ストラテジスト

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えもり てつ / Tetsu Emori

1990年慶應義塾大学商学部卒業後、住友商事入社。2000年に三井物産フューチャーズ移籍、「日本で最初のコモディティ・ストラテジスト」としてコモディティ市場分析および投資戦略の立案を行う。2007年にアストマックスのチーフファンドマネージャーに就任。2015年に「エモリキャピタルマネジメント」を設立。会員制オンラインサロン「EMORI CLUB」と共に市場分析や投資戦略情報の発信を行っている。2020年に「エフプロ」の監修者に就任。主な著書に「金を買え 米国株バブル経済の終わりの始まり」(2020年プレジデント社)。

 

 

 

 

 

 

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