米バイオ創薬のアムジェン、日本進出の勝算 アステラスと組み、第一弾は高脂血症治療薬

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――7月には中医協(中央社会保険医療協議会/厚生労働大臣の諮問機関で、薬価の算定などに関わる)の「最適使用推進ガイドライン」の対象医薬品として、小野薬品のオプジーボとともに名前が挙がった。

「レパーサ」は従来のLDLコレステロールの治療で十分な効果が得られない患者さん、医療従事者にとって重要な治療選択肢になると考えている。最適使用推進ガイドラインは検討が始まった段階であり、多くの注目が集まる新しい取り組みだが、この枠組みの中で必要な患者さんに適切に医薬品が届けられる方法が議論されていると考えている。今後の論議を見守りたい。

――日本進出を単独ではなくアステラスと組んだ意味は?

アムジェンのターゲットは北米や欧州圏が中心だったが、2012年にCEOに就任したボブ・ブラドウェイが「世界に薬を出していく」という新しい戦略を打ち出し、まずブラジルと中国に進出した。

日本も、医薬品の市場として世界3位、創薬の先端技術という意味では世界で2位の国。そういうところへわれわれの製品の価値を直接届けられないのはおかしい、という話になりました。東京にも小さな拠点はあったので、以前よりもドラッグラグ(欧米での発売から日本発売までのタイムラグ)はなくなっているし、早期承認、早期発売の可能性は高まっていると判断した。ただ、販売力については、成熟した強い会社に助けてもらうことが重要だろうとパートナーを探し、アステラスに決まった。

――他の医薬品開発の状況は。

アステラスとアムジェン両社共同のテーマは現在2件。骨粗鬆症は臨床3相、急性リンパ白血病は臨床1相。白血病治療薬は米国で2014年に承認され、発売している。骨粗鬆症治療薬は米国で8月に承認申請を提出したところ。開発は米国とほぼ並行して進めている。

このほか、アステラス・アムジェン単独で3件。メラノーマ(悪性黒色腫、皮膚がんの一種)治療薬は、2015年に米国で承認された、世界初の腫瘍溶解ウイルスによる治療薬で日本では臨床1相を準備中だ。このほか、偏頭痛予防、慢性心不全の治療薬がそれぞれ臨床2相の段階だ。

日本は新しい薬や治療法の導入が遅い

――2020年にはアムジェンの100%子会社に移行しなければならない。どのような会社にしていくのか。日本での上場の可能性は?

当面は開発中の薬の治験を一生懸命進めていく。上場のメリットは資金調達と知名度の向上だが、資金面では親会社があり、知名度に関しては消費材と違って一般に知られることのメリットもないので、現時点では考えていない。

私はファイザーからこの会社に移ってきたが、その理由のひとつに、日本人によい薬を早く届けたい、という思いがあった。欧米では新しくてよい薬や治療法が見つかればどんどん取り入れて使うが、日本はそのスピードがまだまだ遅いという問題意識を持っている。

小長 洋子 東洋経済 記者

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こなが ようこ / Yoko Konaga

バイオベンチャー・製薬担当。再生医療、受動喫煙問題にも関心。「バイオベンチャー列伝」シリーズ(週刊東洋経済eビジネス新書No.112、139、171、212)執筆。

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