全体の8割、「知人から」の性暴力のつらい実態 非は加害者にあるのに、自分を責めてしまう
「魂の殺人」とも呼ばれる性暴力は、被害者の身体だけではなく、心にも深い傷を残します。性暴力の加害者は、決して「見知らぬ人」ばかりではありません。レイプや強制わいせつの被害者を支援する、「NPO法人レイプクライシスセンターTSUBOMI」の代表を務める望月晶子弁護士によると、同団体には、知人や友人など顔見知りの相手から性暴力被害を受けたという相談が多く寄せられるそうです。
性暴力の被害に遭った場合、どうすればいいのでしょうか。また、友人や恋人が被害に遭った場合に、どう接するべきなのでしょうか。望月弁護士に聞きました。
「知人や友人が加害者」という相談が8割
――顔見知りの相手から被害を受けたというケースは、どのくらいあるのでしょうか。
TSUBOMIでは2012年の設立以来、約1500人から相談を受けていますが、加害者が、知人や友人、会社の関係者だったというケースは8割にのぼります。レイプをされたという相談が一番多く、その次に多いのが、無理やり身体を触られたなどの強制わいせつです。
見知らぬ人から突然襲われたケースより、知人から被害を受けたケースのほうが、警察に行かずに泣き寝入りしたり、自分で加害者と話し合って解決しようとする人が多いようです。知人の場合、周囲の人との関係にまで影響が及ばないよう、「自分さえ我慢すれば今までの生活が何事もなかったかのように続く」と気持ちを押し殺す人もいます。