全体の8割、「知人から」の性暴力のつらい実態 非は加害者にあるのに、自分を責めてしまう
――自分にも落ち度があったと責めてしまう人もいるのでしょうか。
そうですね。被害の発生場所としては、加害者の家や(被害者の)自宅が多いので、「部屋に上がらなければよかったんだ」「一緒にお酒を飲んだ私にも非がある」と、自分を責めてしまう人が少なくありません。
TSUBOMIに寄せられる相談は9割が女性からですが、男性からの相談も1割あります。男性は、女性以上に被害に遭ったことを相談しにくいです。「言っても信じてもらえない」と諦めてしまったり、「男は強いのだから抵抗できたはずだ」という世間のイメージから、「強いはずなのに襲われるなんて、男らしくない。ダメな人間だ」と、やはり自分を責めてしまうのです。
しかし悪いのは、望まない行為を強いた加害者です。被害者に非はありません。「私にも悪いところがあった」等と自分を責めたり、決してしないでください。
ショックの現れ方は、人によってそれぞれ
――性暴力の被害に遭った場合、まずどうすればいいのでしょうか。
可能であればまず産婦人科を受診してほしいです。レイプの場合は、妊娠のリスクを避けるためにも、できれば被害から72時間以内に受診して、緊急避妊薬(アフターピル)を服用してください。産婦人科を受診することで、性病などの早期発見・早期治療にもつながります。
TSUBOMIでは医療行為やカウンセリングは行っていませんが、被害について話を聞くことはできますし、提携している医療機関などを紹介することもできます。また今は、「ワンストップ支援センター」という性暴力被害者のためのセンターもあります。医療や司法など諸々のサービスが1ヵ所に集まっているので、お近くにセンターがあれば、連絡するとよいと思います。
ただ、被害に遭った直後はショックに打ちのめされていて、病院や警察に行く、加害者を訴えるなど、積極的に何かをしたいという気持ちがなかなか湧きません。
ショックの現れ方は、眠れない、食べられない、家から出られないなど人によって様々です。一見、何事も起きなかったかのように振る舞う人もいますが、実は本人にはものすごく大きな負荷がかかっています。TSUBOMIには、10年以上も前に被害に遭った人から、「今でも被害を忘れられない」と、相談が寄せられることもあります。