「2代目社長」に批判が集まりがちな根本要因 タレントも経営者も陥る「甘え」とその脱却法

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【3】の場合も、業務上の話に及んだときは、会社の上下関係の立場で会話をしなければならないことは言うまでもない。

家庭と会社は別物だとわかってはいるが……

社長としては、社員全員が、社長が子どもにどう対応するか、注視していることを知っておいたほうがいい。子どもだからといって、出社時のあいさつもろくにしないようでは、会社のタガが緩んでしまう。同居している場合は、朝起きたら「おはよう」と親子のあいさつを交わしている。朝ご飯を食べるときも、一緒に「いただきます」とあいさつをしている。だから、会社ではもういいだろう、などと考えたら、大きな間違いである。

家庭と会社は別物である。会社に一歩足を踏み入れたら、そこは家庭とは何の関係もない上下関係の世界である。だから子どもには、出社したら大きな声で、しっかりと「社長、おはようございます」とあいさつさせなければならない。

ちなみに会社には、2代目にとってよい存在と悪い存在がいる。

2代目にとってよい存在とは、第1に、厳しくて口の悪い得意先である。社長の子どもも得意先には弱いから、辛口の意見でも、しぶしぶでも従うようになる。第2のよい存在は、「遅刻する」「あいさつしない」「返事しない」などの悪癖を繰り返す社員、つまりダメ社員である。そういう社員たちは、子どもにとって大変よい反面教師になってくれる。

では悪い存在とは何か。第1は、「子どもさん、子どもさん」と、ゴマをすって来る得意先だ。隠れて接待などされた日にはたまったものではない。子どもがダメになる。第2は、表面的には子どもを立てながら、影で悪口を言う社員である。そして第3は、子どもを潰しにかかる古参社員だ。このあたり社長は、よくよく目配りをしておく必要がある。

そのうえで社長は、子どもの仕事の結果を客観的に評価する。仕事を任せるときも、とことん任せて、できなかったら叱り、そのうえでアドバイスすればいい。

ただ子どもだと、これが現実にはなかなかむずかしい。建前は確かに、任せると言ったらとことん任せるべきなのだが、どうしても、うまくいっているかどうかが気になってしまう。そして、あれこれと口を出してしまう。いくら任せたとはいっても、実際にやらせて失敗すれば、その尻拭いは当然社長がやらなければならないからだ。

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