被災者への医療費支援、宮城県が打ち切り 4月から25万人に窓口負担が発生

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県議会では「(全国の自治体や国民からの寄付などで賄われている)地域整備推進基金の残高が100億円強ある。基金の取り崩しで免除に必要な額を賄うべき」(天下みゆき県議)との意見が出されていたうえ、13年度一般会計当初予算の可決に際しても「あらゆる手だてを講じて免除措置が継続できるよう万全を期すこと」との付帯意見が付けられていた。

国も追加支援に動かず

付帯意見を踏まえて県では対象者を絞り込むなどの形で免除継続できるかどうかを、市町村の担当者を集めた会議で確認したが、「困難との意見が大勢を占めた」(村井知事)という。さらに「県独自の予算確保も難しい」としたうえで、「国に全額の財政支援を要請していく」(村井知事)としているが、厚生労働省は従来通り、必要額の8割の支援にとどめる姿勢を変えていない。気仙沼市などからは安倍晋三首相にも全額支援の要望が提出されているが、官邸や厚労省が動く気配もない。

75歳以上の高齢者の医療費免除については、すでに宮城県後期高齢者医療広域連合が3月末での終了方針を公表している。介護保険についても、4月から免除打ち切りが相次ぐ見通しだ。

国保と後期高齢者医療の一部負担金免除対象者は宮城県内で25万人近くにのぼる。村井知事は「本当に生活が苦しい方には、生活保護という最低限のセーフティネットがある。(被災者が)大変な事情であることは確かだが、(県の)事情をくみ取っていただき、一人一人頑張っていただきたい」などとも記者会見で語っている。

(撮影:梅谷 秀司)

岡田 広行 東洋経済 解説部コラムニスト

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おかだ ひろゆき / Hiroyuki Okada

1966年10月生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。1990年、東洋経済新報社入社。産業部、『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部、企業情報部などを経て、現在、解説部コラムニスト。電力・ガス業界を担当し、エネルギー・環境問題について執筆するほか、2011年3月の東日本大震災発生以来、被災地の取材も続けている。著書に『被災弱者』(岩波新書)

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