ユニクロ論争、これにて一件落着
続・「ユニクロ叩き」にモノ申す

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強固な財務~しかし末端の従業員には無関係

正直、以下のように財務の話やらバランスシートの話やら、退屈な話をぶつぶつ繰り広げるのは気が引けるが、ここはもう一度辛抱していただきたい。

ユニクロのバランスシートは非常に強固で、ほぼ自己資本で賄われている。潤沢にキャッシュが生み出されるが投資コストがそうかかるビジネスでもなく、余ったキャッシュは少し(200億円程度)株主に配当で還元されたのち、分厚いバランスシートにさらに積み上げられることになる。財務諸表を見るかぎり、投資や投資家への還元をしても使い切れないほどのキャッシュが積み上げられているのが見て取れる。

こう考えると物悲しいのは、安全性の塊みたいな財務状態の巨大企業で、使い切れないほど資金があるのに、会社が儲かってもその恩恵を受けるのは経営陣と株主で、いくらユニクロが成長して利益が上がろうと労働者には還元されないことである。

これはユニクロに限ったことではなく、そもそも資本主義ではつまるところ、企業がいくら儲かっても、また企業がいかにおカネが余っていて財務が健全であろうと、その取り分は末端の労働者にはシェアされない仕組みになっているのだ。

そしてグローバル競争と資本主義のサンドイッチに挟まれた安価な労働者は、法律で見かけ上守られていようが、さまざまな仕掛けで実質的に搾り取られていく。

“裁量労働制”は労働者から投資家への不当な富の移転

たとえばユニクロ問題で取りざたされる“裁量労働制”だ。この制度自体は、外資系の金融機関やコンサルティングファームで働いてきた人のように、労働時間で対価をもらうのではなく成果に対して対価をもらう業態では当たり前で、私も人生で残業代などもらったことは一度もない。

しかし問題なのは、この“裁量労働制”がユニクロに限らず、少し前の日本マクドナルドの事例を含め、人件費を抑えるために広く濫用されてきた点である。また日本は本音と建て前の文化なので、とんでもない制度を綺麗な名称で聴こえを良くしているだけのケースがあまりにも多い。

結果的に管理会計の観点から本来ならば間接費に振り分けられるべきコストが会社のコストとして認識されず、社員の自腹負担になってしまっている。このままだと、ひょっとするとユニクロは業態的に低賃金の単純労働者も数多く必要なので、長くいて給料が上がる前に、疲弊して退社してもらったほうがコストマネジメント的には助かるのではないか、と勘繰られてしまう。

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