外資も若者も群がる、活況のREIT市場 日本型とは違う高い分配金で投資家を引き付ける

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もう一つは、投資家を意識した高い利益分配方針だ。両REITは通常の分配金に、毎期の減価償却費の最大30%を上乗せする利益超過分配を導入した。日本ではまだ珍しい制度だが、海外では一般的だ。

さらに、REIT運用会社の経営報酬についても、分配金の額に連動する方式を取り入れ、投資家と利害が一致するよう配慮した。こちらも資産規模に連動するタイプが多い、国内の既存REITとは異なる方式だ。GLPジャパン・アドバイザーズの三木真人社長は「相場が下火になっても買い支えてくれる投資家を増やしたい」と、その狙いを語る。

これまで、日本のREITは投資家よりも母体企業におもねった経営に陥りやすく、それが市場拡大の阻害要因となってきた。だが、外資系が新機軸を打ち出したことで、業界の慣習に風穴が開こうとしている。

日本のREITは今年、誕生から12年目を迎えるが、時価総額は約5兆円と、米国の10分の1程度。足元の相場上昇を単なるブームで終わらせないためには、既存REITの変革が不可欠だ。

(撮影:風間仁一郎)

 

倉沢 美左 東洋経済 記者

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くらさわ みさ / Misa Kurasawa

米ニューヨーク大学ジャーナリズム学部/経済学部卒。東洋経済新報社ニューヨーク支局を経て、日本経済新聞社米州総局(ニューヨーク)の記者としてハイテク企業を中心に取材。米国に11年滞在後、2006年に東洋経済新報社入社。放送、電力業界などを担当する傍ら、米国のハイテク企業や経営者の取材も趣味的に続けている。2015年4月から東洋経済オンライン編集部に所属、2018年10月から副編集長。 中南米(とりわけブラジル)が好きで、「南米特集」を夢見ているが自分が現役中は難しい気がしている。歌も好き。

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