「マイナス金利だから」と下手に動くと損する ローン借り替えや家の購入あせってませんか

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西武信用金庫など、マイナス金利下でも顧客へ還元できる金融機関も。だが「マイナス金利だから」と、むやみに動いてはいけない(撮影:鈴木紳平)

今年の2月16日に日銀のマイナス金利政策が実施されて以降、金融機関や住宅販売会社等の営業の人たちが熱心に営業活動をおこなっています。「預金の金利が下がったから、引き出して株式や投資信託に投資しましょう」、「こんなにローン金利が下がったのだから、このチャンスに家を買いましょう」といったセールストークが、あちこちで聞かれるようです。

数百円の利息減のために、リスクを負う必要があるのか

でもよく考えてみましょう。金利が下がったといっても、例えば預金をしていて受け取る利息は一体どれくらい減ったのでしょう?メガバンクを例にとれば、今年の3月くらいまでの1年物定期預金金利は年利0.03%でした。

マイナス金利の実施後に引き下げられた金利は、現在0.01%です。利率だけではあまりピンとこないのですが、これは100万円を預けて年間300円だった金利が100円になったということです。確かに下がってはいますが、減った金額は200円と、わずかです(実際には税金を引くともっと差は縮まります)。それぐらいならコンビニのATMで時間外に引き出した時にかかる手数料と同じくらいの金額にしかすぎません。

この「わずかに減る金額」をカバーするために投資信託や株に投資をするということは、果たして合理的なのでしょうか?投資信託に預けた場合、少なくとも年間で0.2%ぐらいの運用管理費用(信託報酬)がかかります。100万円なら2000円です。中には購入手数料がかかるものもありますので、仮にその手数料が2%だとすれば2万円を払うことになります。

それに株式や投資信託は言うまでもなく、価格変動のリスクがあります。せいぜい200円ぐらいの利息が減るのを防ぐ代わりに年間2000円や購入時に2万円もの手数料を払ったり、値下がりリスクを負ったりするというのはあまり合理的な行動であるとは言えません。

もちろん投資が悪いとは全く思いません。自分で考えて投資すべきだと判断したのであればいいのですが、マイナス金利の影響で金利が減るからという理由だけで焦って投資するというのは早計だと言えます。ところが“マイナス”という言葉の響きに不安を持った人に対して投資を勧めるというのは金融機関としては正しい営業戦略です。積極的に勧めるのは当然でしょうが、勧められる側がここは冷静に考えるべきです。

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