「マイナス金利だから」と下手に動くと損する ローン借り替えや家の購入あせってませんか

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また、金利が下がったことでローン金利も下がるので新規に家やマンションの購入を勧められたリ、ローンの借り換えを検討したりする人もいると思います。これも前述の投資と同じで、焦ってやらない方が良いと思います。

まず新たに家を購入する場合ですが、そもそも家を買うのは一種の“投資”です。投資といっても別に値上がり益だけを目的にするのではなく、快適に住むというリターンも重要な投資の目的です。

負うリスクと得られるリターンのバランスを考えよ

したがって、投資する際に一番大切なのは「自分が負うリスクと得られるリターンのバランスを考えること」です。

もし自分の家を購入する場合なら、利便性や住む上での快適さ、将来買い替える可能性があれば、その際の価格の見通し等を総合的に判断して買うかどうかを決めるべきであって、ローン金利というのは購入するための費用の一部に過ぎません。ローン金利が下がったからといって飛び付いて買うというのであれば、スーパーで「本日ポイント3倍デー」と言われて、特に欲しいわけでもないものをつい買ってしまうのとあまり変わりません。

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また、金利が下がったのでローンの借り換えということも検討する意味はありますが、どんな場合でも借り換えしたほうが有利になるというわけではありません。

借り換えにあたっては発生する費用、例えば手数料や保証料、登録免許税等があります。これらの諸費用の合計と借り換えによって支払いが減る金利の総額を比べてみて、有利になるのであれば実行する価値はありますが、そうなるかどうかを判断するにはシミュレーションをすることが必要です。

マイナス金利というのは経験したことがないので、これを機にビジネスチャンスととらえる業者はたくさんあります。ただ、いずれの場合でもお金を動かすことに対しては慎重に考えるべきです。特に目先で短期的な利ザヤ稼ぎをするわけではなく、長期的な資産管理ということから考えた場合は、すぐに飛びつくのではなく、じっくり考えてから判断すべきだということを忘れないでください。

大江 英樹 経済コラムニスト、オフィス・リベルタス代表

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おおえ ひでき / Hideki Oe

大手証券会社で25年間にわたって個人の資産運用業務に従事。確定拠出年金ビジネスに携わってきた業界の草分け的存在。日本での導入第1号であるすかいらーくや、トヨタ自動車などの導入にあたりコンサルティングを担当。2003年から大手証券グループの確定拠出年金部長などを務める。独立後は「サラリーマンが退職後、幸せな生活を送れるよう支援する」という信念のもと、経済やおカネの知識を伝える活動を行う。CFP、日本証券アナリスト協会検定会員。主な著書に『自分で年金をつくる最高の方法』(日本地域社会研究所)、『知らないと損する 経済とおかねの超基本1年生』(東洋経済新報社)などがある。

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