航空業界の競争力は人材。そこで予算は惜しまない−−シンガポール航空CEO 周 俊成


--ライバルはどこですか。

地上のすべてが競合相手です。アジアではJALやANA。キャセイパシフィックもそう。オーストラリアのカンタスも。また、欧州ではルフトハンザやエールフランスもそうです。ただ、中でも注目しているのが中東のエミレーツやカタールですね。中東は今、本当に原油高騰で潤い、おカネが豊富なので、リソースもある。自由におカネを使ってスタッフも雇用できるし、新しい機材も買える。マーケットシェアを積極的に取りにきている感じです。

--シンガポールでは昔から航空産業に力を入れてきたのでしょうか。国家的な戦略ですか。

小国であるシンガポールは国内線がなく、すべてが国際線という特性があります。こうしたことをかんがみて、シンガポール政府が目指してきたのは、グローバル経済で発言力を持つためのハブ化でした。港湾では世界的なコンテナのターミナルがあります。それから、金融のハブも。ヘルスケア、教育、リサーチなどもそうです。その中の一つが航空産業です。

さらにシンガポールは東南アジアの中心に位置することで、随分メリットがあります。東南アジア諸国は過去40~50年の間に大きな経済成長を遂げました。これを追い風に、われわれは世界に飛べる。欧州が20%、オーストラリア、ニュージーランドが20%、中国とインドが大体10%、米国が15%から20%ぐらいでしょうか。単一市場に依存するのではなく、たいへんいい割合になっている。一つが弱くても、ほかのところでカバーできますからね。

--原油高を背景に米国でデルタとノースウエストが合併を決め、欧州では伊アリタリア航空の去就が注目されています。業界再編の予兆でしょうか。

原油価格が上がり需要と供給のミスマッチが出れば、コストを吸収できずに再編が当然進みます。ただ、今世界で起きている再編はある程度の大きな地域や国の中に限定されています。たとえば、米国同士やEU域内です。国境を超えた航空再編となると、航空会社は政府間協定などで大きな規制を受けています。そのため、エレクトロニクスや銀行などに比べると古い業界で再編が遅れている。ただ、さまざまな規制がなくなり、われわれもいい候補があれば、オーナーシップを持ちたい。成長著しい中国やインドが魅力です。

--ほかの業界のように完全な自由経済はやってくるのでしょうか。

これはたぶん2~3年では無理だと思います。もうちょっと先になるでしょうね。だから、規制が変わるまでは便数を上げて座席数を上げていく。加えて運航路線も増やす。一方、ほかの航空会社に投資して果たす役割もある。一緒に相乗効果を求めるビジネスパートナーとしてのやり方です。

--中国東方航空に出資提案しましたが、中国国際航空や当局がらみで破談。難しさも露呈しました。

そうですね。昨年、中国東方航空に対して、われわれの大株主のテマセク・ホールディングスと24%の権益を持とうとしました。これは現在の株主の承認を得たらという条件付きで両者で合意しましたが、結果的に株主承認を得られませんでした。今はどちらかというと事業提携を軸に何か協力できるところがないかと話し合いをしている段階です。

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