エイベックス「ヤンキー兄ちゃん支援」のワケ

松浦社長が考えるヒット創出の処方箋

松浦:海外は簡単ではないと思っています。ただ、絶対にやらなければいけない。なぜならば「デジタル化」となった現在では、もはや国境は意味がない。現在はシリコンバレーのIT企業に席巻される世界です。僕らは今、音楽パッケージの売り上げでは日本で一番にもなりましたが、世界から見たら、まったく一番ではない。世界のなかでの位置を日本国内の都市で例えるならば、「福岡で一番」みたいなものです。東京で一番にならなければしょうがないと思うのです。

そう考えたときに、どこに行けばいいのか。ITの場合はシリコンバレーですが、われわれエンターテインメントの世界ではロサンゼルスではないかと思い、ロサンゼルスに行くことにしました。

アメリカの音楽会社は広大な土地でレコードを流通させるっていうことを最大の武器にやってきましたが、その武器はデジタルになって意味がなくなった。CDも売れなくて、音楽業界も非常に危機的状況になっていて。6つあったメジャーディストリビューション(大手流通会社)もユニバーサルミュージック、ソニー・ミュージックエンタテインメント、ワーナー・ミュージック・グループの3つになってしまった。

アメリカには大きなビジネスチャンスがある

山田:入り込む余地がないように見えてしまいますが。

松浦:しかし、ここには大きなビジネスチャンスがあるかもしれない。米国には日本のように360度的に事務所がアーティストを管理する慣習がない。アーティストが事務所を持つという世界なので、日本のやり方を持ち込めば、成り立つ可能性があるわけです。

そもそも僕たちが日本でこういう360度型のビジネスをしているという説明をアメリカですると、ものすごくびっくりされる。要するに、「アーティストに言うことを聞かせるのか?」と驚くわけです。アメリカではアーティスト主導で動いていきます。また、世界のビッグアーティストというのはおカネが掛かりすぎて、新人をなかなかデビューさせられないということもある。デビューしたい人たちもいっぱいいることを考えると、日本の芸能事務所のようなビジネスモデルは、今だったらチャンスがあると思うんです。

また、売れていないとはいってもCDの売り上げが大きいので、レコード会社はなかなかその呪縛から離れられない。これは米国も日本も同じです。レコード会社はレコードを売るのが大切なのであって、アーティストのマネジメントをやるという発想は絶対に出てこない。

日本でも、僕がこういう業態をはじめてつくった。事務所がレコード会社を作ったときに無謀だって言われましたけど、今ではそれが当たり前になった。アメリカでは、もちろんアメリカ人と一緒にやりますが、日本の資本が入ったエンターテインメントの会社が成功したっておかしくない。「行くなら今」と思うんですね。今がいちばん大変そうですが、だからこそ今。4番目のメジャーに付けたいという思いがあります。

2年、3年でうまく行くかはわかりませんが、5年後ぐらいには1人くらいはヒットを出したい。

山田:日本のアーティストを世界で売り込むという思いもありますか。

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