【3】整理整頓できない人は「仕事の引き継ぎ」で大混乱をもたらす
また、整理整頓ができていないと、仕事の引継ぎ時も大混乱に陥る。
資料やファイルがきちんと整理されていれば他人に引き継ぐのも容易だし、何か質問をされればすぐに対処できる。
しかし、机が「資料の山」や「ゴミ屋敷状態」だと、何が必要で、何が必要でないか、それを仕分けることにさえムダな時間がかかるのだ。
「自分にしかわからない整理整頓」だと、いざ、誰かが仕事を引き続こうと思っても、必要な資料や情報をうまく引き継ぐことができないのである。
ただし、「飛び抜けて二流の人」は、生産性が低すぎたため、引き継ぐべき仕事がないこともある。日ごろから何も仕事をしていなかった人は、引き継ぎ時と退職時に、その人がどの程度の仕事をしてきたかがバレることも忘れてはいけない。
わざと「カオス状態」にする二流エリート
恐ろしいことに、競争が激しいグローバル業界では、情報を自分だけがわかるブラックボックスの中に放り込んで、「自分にしかわからない整理整頓」を「自分の保身術」に悪用する人もいる。私が目撃したあまりにも二流な実例を、「反面教師」として紹介したい。
ドイツ系オーストラリア人の2メートルくらい身長のある優秀な投資銀行家である友人のフィリップス(仮名、30歳)も、まさにそのタイプだった。
彼はMBA時代も成績優秀で上位10%以内に入っていたし、前職の欧州系投資銀行でも20代でさっさとディレクター(部長クラス)に出世するほど仕事ができたが、その机の汚さといったら目も当てられないほどだった。
しかし、彼がいなくなると、そのカオスの状態から情報を取り出してくることが不可能になる。それにより、逆説的だが「自分の重要性」を高め、会社の中での「不可欠度」を増していたのだ。
ほかにも、某外資系コングロマリットで働いている友人の藤田さん(仮名、49歳)は、自分がクビになったら仕事が回らなくなるよう、資料やデータを極力わかりにくいフォルダ名で分類していた。重要な顧客情報を意味不明のフォルダ名で、わけのわからない場所に保存しては、ほくそ笑んでいたのだ。
データを探そうにも、それを保存した自分に聞かなければ一生たどり着けなくすることで自分の「戦略的地位」を保つのはまさに二流の所業だが、それでも藤田さんは15年間一度も仕事を失うことなく生存競争を勝ち抜いていたのである。
ただし、こうした「裏ワザ」を普通の人がマネるべきではない。あくまで我々が目指すのは、整理力に象徴される「仕事のIQ」全般を高めることであり、整理整頓ができない二流の人に対して「上手に対処」することである。
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