ベアリングカルテルの懲りない面々 40年前と同じ構図、大手3社に行政処分へ
話は40年前にさかのぼる。1973年、ジェイテクトの前身である光洋精工と現NTNの当時の販売会社である東洋ベアリング販売、日本精工、不二越の4社は、カルテルを形成。当時の公取委は現在の「排除措置命令」に当たる行政処分を下した。今とほぼ同じメンツが、同様の不正行為に手を染めていたのである。
再び過ちが繰り返された背景には、日本のベアリング業界が抱える構造問題がある。
大手4社で8割のシェアを握る寡占市場
国内のベアリング市場は大手4社が約8割のシェアを握る。高度な技術が求められ、参入障壁も高く「寡占状態」にある。一方で、主要顧客である自動車メーカーからは、つねに厳しい価格要求を突き付けられているうえ、今回の一連の値上げが始まったとされる04年ごろは、北京五輪に備え活況だったインフラ需要などを受け鋼材価格が上昇した時期でもある。
原材料の調達先と顧客に「板挟み」になる中で、ベアリング4社が選んだのは、寡占状態を逆手に取る行為だったというワケだ。公取委で特別審査専門官を務めた経験を持つアンダーソン・毛利・友常法律事務所の石田英遠弁護士は「ベアリングメーカーが行っていたのは『カルテルだ』と言われても抗弁しようのない行為だった」と指摘する。
40年前と同じ過ちが繰り返されたのは、各社が申し合わせて価格を決めるという風土が業界に根付いていたことを意味する。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら