ポケGO大ヒットの裏で進む「もう1つの異変」 「インディーゲーム」の凄まじい可能性

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ただし、インディーゲームも華々しい側面だけでは、なくなってきました。海外ではインディーといえども開発規模が大きくなってしまったために、リスクも大きくなり、一般的なゲーム開発会社と同じジレンマを抱えることとなったゲームプロジェクトも少なくありません。

また、クラウドファンディングでは、完成したゲームのクオリティが低かったり、そもそもゲームが完成しなかったりと、インディーゲームと投資におけるリスクの問題が浮き彫りになってきました。国内のインディーゲーム開発においては、資金確保と技術者の人材確保が大きな課題となっています。

これからのインディーゲーム

では、これからのインディーゲーム開発は、どのように見ていけばよいのでしょうか? そのヒントとなるのが、社内キックスタート型のインディーゲーム開発です。

たとえば、TV番組や企業VP(Video Package)、イベント用CGなどの製作を手がけるParkgraphics社は、社内キックスタートによってスマートフォン用ゲーム『ひよこまみれ』を開発しました。コアメンバーは4名。これまでのシリーズ累計ダウンロード数は450万本と大ヒットを記録。直近では、筆者が所属するUnity Technologies Japanも協力して、Newニンテンドー3DS版を発売しました。

Newニンテンドー3DS 「ひよこまみれ」© Parkgraphics Co.,Ltd. All Rights Reserved.
公式サイト http://parkgraphics.sakura.ne.jp/web/hiyokomamire3ds/

発売日5日目にして、ニンテンドーeショップ ダウンロード専用ソフト 人気ランキング8位を記録しています。

このゲームのポイントは、かわいい「ひよこ」キャラと、女性と子どもをターゲットにした「難しすぎない・気軽に遊べるゲームデザイン」です。また、Miiverseと呼ばれる任天堂のコミュニティサイトや、FacebookやTwitterなどのSNSに写真を投稿できる機能を持っており、「自分が見つけたかわいい瞬間」をコミュニティで共有できるようになっています。

成功するゲームには、「ルック(人を魅了する見た目)」「ゲームデザイン(おもしろがらせる設計)」「ゲームメカニクス(ゲームを成立させる構造と技術)」の最低3要素が成立している必要があります。『ひよこまみれ』には、この3要素のほかに、思わず自分がプレイしたことを他人に話したくなる「バイラル性」があり、これらがコンテンツとしての「商品力」となってユーザーの人気を獲得しているのです。

上の書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

現在、インディーゲームは成長期から成熟期へと向かおうとしています。インディーゲームの数も多くなっており、人によっては混迷しているように見えるかもしれません。しかし、このような時期では、ご紹介したような3要素+α要素を持つコンテンツが、しっかりと足場を整え成長していくでしょう。

さらに、現在話題となっている仮想現実で遊べる「VR(Virtual Reality)」や、Pokémon GOのような現実世界を拡張する「AR(Augmented Reality)」「MR(Mixed Reality)」の登場によって、「自由」を源にゲームを開発するインディーゲームの可能性はまだまだ広がります。今後もインディーゲーム市場からは目が離せません。

大野 功二 ゲームプランナー

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おおの こうじ

フリーのゲームプランナー、開発プロジェクトコンサルタント。その他にも、フリープログラマー、フリーライター業などを掛け持つ。PCゲームやPlayStation 3、Nintendo Wiiなどのコンシューマーゲームにおいて、オリジナルゲーム作品から、有名アニメおよびスポーツ版権タイトルのゲーム制作まで多数参加。現在は、Unity Technologies Japanにてインディーゲームのポーティングディレクター、QAマネジャーとして担当している。また、研究開発にも力をいれており、その成果として日本最大のゲーム開発者向けカンファレンス「CEDEC」に参加。2008年の「ニューラルネットワークとゲームAI」を皮切りに2010 年まで講師として活躍している。2015年には著書『3Dゲームをおもしろくする技術』がCEDEC AWARD 2015 著述賞を受賞。

著書には『3Dゲームをおもしろくする技術』『Unityではじめる2Dゲーム作り徹底ガイド』『2Dゲームをおもしろくする技術 スタートダッシュ編』などがある。また、ゲーム開発だけでなく、ゲーム技術を用いたデジタルサイネージおよびデジタルアートへの応用研究開発、VR・AR・MR研究など、活動の幅を広げている。

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