IFRS導入予定は、わずか21社にとどまる 四季報調査でわかった、上場会社のIFRS対応状況

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製薬、商社が導入を予定

IFRS導入、導入予定の企業を見ると、第一三共など海外で大型買収が相次ぐ製薬メーカーが目立つ。IFRSのほうが買収をスムーズに進めやすいからだ。さらに買収後にのれん償却をしなくて済むほか、仕掛かり研究費を資産計上できるなど、日本基準に比べて膨大な費用を抑えて営業利益を脹らませられるという側面もある。

総合商社も導入へ積極的な業界だ。もともと海外取引が多いことが主因だが、丸紅や三菱商事のように、米国で上場していないにもかかわらず、米国SEC基準での会計が認められている特例会社が多い点も影響していそうだ。特例はいずれ、認められなくなる可能性が示唆されており、これを機にIFRSを任意に適用しておいたほうがよいという考えがあるためだ。

なお、現状の日本基準が損益計算書(PL)を重視するのに対し、IFRSはPL上の純利益に加え、資産・負債の価値の増減を合わせた包括利益を重要視、貸借対照表(BS)に重きを置いている。所有資産が将来どの程度稼ぐかも毎年見直すなど、投資家向きといわれる反面、決算書の分量が増加する傾向があり、企業負担は大きくなる傾向にある。

(撮影:梅谷 秀司)

『会社四季報』編集部
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