ケンウッド・ビクター 経営統合の前途多難
ケンウッドと日本ビクターが10月に経営統合する。共同持ち株会社を設立し、両ブランドは残したまま、カーナビゲーションなど車載機器と通信機器を主軸に成長を図る。2010年度の営業利益目標は、現状の4倍となる390億円を掲げた。
最大の課題は、ビクターが抱える液晶テレビなどディスプレー事業の再建だ。競争激化で製品価格は年間2割以上も下落し、07年度の同事業は100億円強の赤字に陥ったようだ。経営計画では海外工場閉鎖や不採算の国内出荷の大幅な絞り込みを前提に収支均衡圏を目指す。だが、台数減はブランド力衰退を招きかねない諸刃の剣である。
新会社の会長に就く河原春郎・ケンウッド会長は、東芝、外資ファンドを経てケンウッドの債務超過解消を成し遂げ、企業再生の手腕を発揮してきた。「統合をオーディオメーカーの成功モデルとし、(ビクターに続く)第3、第4の勢力を巻き込みたい」と意気込む。新会社が業界の台風の目となるかは、ディスプレー再建の進捗次第だ。
(杉本りうこ 撮影:今井康一 =週刊東洋経済)
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