「優秀なあの人」が独立しても儲からない理由 会社員時代の栄光や価値観など通用しない

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しかし、現実は甘くありませんでした。1年ぶりに彼に再会すると、現在はコンビニでアルバイトをしながらコンサルタント業を細々と続けているとのこと。

個人向けに営業ノウハウを指導するコンサルタントを名乗っていたのですが、個人で依頼してくる人はかぎられ、しかも高額のコンサルタント料を払えるクライアントはめったにいなかったのです。それでもあきらめずに試行錯誤を続けているそうですが、一方で家族を養わなければならないため、やむなく空き時間はすべてアルバイトをしている、とのことです。

会社と個人の力を混同してしまう

彼のように会社員として実績を出していても、起業したら勝手が違うということはよくあります。特に多いのは、50代になってから起業するケース。会社で管理職を任され、それなりに実績を出しているので、起業してもやっていけると思ってしまうのですが、会社の力と個人の力を混同してしまう人が少なくありません。

会社の管理職に求められるのは、おもに部下や仕事をマネジメントする力ですが、起業の段階ではほとんど必要とされません。起業の初期で求められるのは、専門性や営業力です。結局、鳴かず飛ばずで、再就職活動をせざるを得ないケースが実に多いのです。

逆に起業の成功者のなかには、サラリーマン時代には、それほどの成果をあげていなかった人がたくさんいます。何を隠そう、私もその一人。人材派遣会社で営業をしていたころは、たいした成果もあげられず、土日の休みが待ち遠しくてたまらない……そんなダメサラリーマンの典型でした。現在、インターネット通販のコンサルタントとして高収入を得ている起業家も、大手商社に就職しながらも上司とケンカをして1年で退社。結局、4社を転々とした末に起業し、成功を収めました。

起業で成功する人の共通点として、会社員としてはうまくいかずに、何回か転職をしていることも挙げられます。上司から煙たがられて、社内で居場所を失ってしまうタイプが多いのです。起業家は枠にとらわれず、自分で新しく仕事をつくるのが仕事。会社の枠からはみ出してしまうくらいのほうが成功しやすいのだと考えられます。

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