「おやじネットワーク」に食い込むメリット

「おやじ村の一員」になることが、出世につながる

ところが、内輪と見なされていなければ、そこまで投資はしてもらえません。修正版を渡されるだけか、「やっぱりこいつには無理か」と次にはその仕事を任せてもらえなくなることさえあります。ルール化すれば良いようにも思えますが、繊細に組み立てられた席順によって、より生産性の高い会議が行われているというケースもあり、暗黙知が形式知化しにくいこともあるのです。

これは前回もお話した「信頼貯金」の問題。要は、その人に「教える」という投資行為が、そのおやじ村の共通利益になりうるかが判断の基準となる訳です。当然、性別の問題ではないのですが、女性は「おやじ村の一員」として認識されていないケースが多く、投資対象となりにくいということです。

外資、ベンチャーにも「おやじネットワーク」はある

私も若い頃、ある会議で小さな社内改革の必要性の議論になり、誰かがそれを進言しなくてはならなくなったことがありました。なんとなく男性の同僚たちに押されたこともあって、正義感に燃えた私は経営会議で発言し、みごと玉砕した、という経験があります。ずっと後になって、ある先輩に「あれは確実に犬死にだったね、ふつう竹槍一本で刺しにいかないでしょ」と言ってもらったのです。おやじ村の掟を知っていたら、もう少し違うやり方をしていたか、その前に止めてもらっていた、ということではないかと今は思っています。

難しいのは、女性には「教えない」という悪意があるのではなく、「教える甲斐がない」との無意識下で排除されてしまう、という点です。加えて、多くの技や知識は上記のような「暗黙知」であり、一定の時間を共有した「すり合せ」によって伝授される類いのため、上司や先輩自身も「暗黙の掟」が何なのかが抽出できない、というケースが多いようです。

このような話をすると、それは過去の話、あるいは日本の伝統的大企業だけの話ではないか、という方がよくいます。しかしながら、おやじネットワークは、現代の日本企業にも、社内政治が実は激しい外資系企業にも確実に存在しています。また、SNSの普及なども相まって、ベンチャー業界にも「男性×仲間組織」の存在感はむしろ強まっているようです。

逆に言えば、「おやじネットワーク」に所属することで得られる恩恵は、計り知れないものがあるということです。男性社会の暗黙の掟を教えてもらえることもそうですし、何より人脈を広げることで、抜擢される可能性が高まります。「最初のわらしべ」となる実績がなくてもポテンシャルを評価してもらい、抜擢の機会に想起してもらいやすくなるのです。

これはすなわち、いい仕事をする機会に恵まれて実績を残しやすくなるということです。この連載の第1回で「女性は若いうちに仕事の実績をつくっておくと、出産後も仕事に復帰しやすい」と述べましたが、実績を残すためにも人脈をつくることは不可欠なのです。

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